札幌市中央区東本願寺前駅にある、初心者向けスポーツジム フィットメソッドです。
以前「コンパウンド vs. アイソレーション 多関節と単関節の違い」というタイトルで記事を書きました。
詳細を知りたい方は、リンク先へとお進みいただきたいのですが、内容を簡潔にまとめると、
・トレーニングのエクササイズは、多関節種目と単関節種目に分類することができる。
・多関節種目は2つ以上の関節を動かすエクササイズで、単関節種目は1つの関節を動かすエクササイズ。
・ラットプルダウンは肩関節と肘関節を動かす多関節種目で、アームカールは肘関節を動かす単関節種目になる。
・多関節種目は2つ以上の関節を動かすため、動員される筋肉数が増え、より多くの筋を鍛えることが可能。
・単関節種目は1つの関節 (のみ) を動かすため、動員される筋肉数は減るが、よりピンポイントでターゲットの筋を鍛えることが可能。
・とすると、ラットプルダウンとアームカールでは、どちらも肘関節の屈曲を伴うため、上腕二頭筋を鍛えることができるが、ラットプルダウンよりもアームカールの方が、その効果は高いと推測できる。
・しかし、トレーニング未経験者を対象とした10週間の研究では、ラットプルダウンもアームーカールも、上腕二頭筋を鍛える効果は同等だった。
・そのため、基本的には多関節種目をメインに取り入れ (より多くの筋を鍛えることが可能だから) 、状況に応じて単関節種目も取り入れるのが望ましい。
こんな感じになっています。
しかし「上腕二頭筋を鍛える効果は同等だった」という結果が得られた背景には「ラットプルダウン vs. アームカール」という条件があってのことで、これらと異なるエクササイズであれば、これとは異なった結果が得られていたかもしれません。
そんな中、2021年と3年前ではありますが「ダンベルロウ vs. アームカール」という条件での研究が行われました。
今回は「【筋トレ】多関節種目? vs. 単関節種目 トレーニングの効果の違いについて」というタイトルで記事を書いていきます。
ダンベルロウ vs. アームカール
Single-Joint Exercise Results in Higher Hypertrophy of Elbow Flexors Than Multijoint Exercise
研究内容をザックリ書き出します。
過去6ヶ月間トレーニング経験のない方を対象に、一方の腕でダンベルロウ、もう一方の腕でアームカールを行った。
トレーニングは、8 〜 12RMで4 〜 6セット、週2回の頻度で計8週間実施した。
トレーニング前後で、上腕二頭筋の厚みや各エクササイズにおける挙上重量の変化を調べた。
結果、上腕二頭筋の厚みはダンベルロウ側の腕で5.16%、アームカール側の腕で11.06%増加し、ダンベルロウ側の腕よりもアームカール側の腕の方が肥大効果は大きかった。
各エクササイズにおける挙上重量は、両方の腕で向上が見られたが、ダンベルロウ側の腕ではダンベルロウの、アームカール側の腕ではアームカールの改善が顕著だった。
この研究では、過去6ヶ月間トレーニング経験のない方を対象に、一方の腕でダンベルロウ (イラスト左) 、もう一方の腕でアームカール (イラスト右) を行っています。
例えば、ここに A と B の 2人がいたとすると、A は右腕でダンベルロウ・左腕でアームカール、B は左腕でダンベルロウ・右腕でアームカール、的な感じです。
そして、8週間のトレーニング前後で、上腕二頭筋の厚みや各エクササイズにおける挙上重量の変化を調べました。
まず、上腕二頭筋の厚みですが、両腕で増加が確認されたものの、ダンベルロウ側の腕よりもアームカール側の腕の方が有意に大きかったみたいです。
つまり、上腕二頭筋の肥大 (筋肉量の増加) は、ダンベルロウよりもアームカールの方が効果的だと判断できます。
次は、各エクササイズにおける挙上重量ですが、両方の腕で向上が見られたが、ダンベルロウ側の腕ではダンベルロウの、アームカール側の腕ではアームカールの改善が顕著だったみたいです。
イメージとしては ⇩ このようになります (わかりやすくするため数値はテキトーに入力しています) 。
ダンベルロウを行った腕 | アームカールを行った腕 | |
ダンベルロウの挙上重量 | + 20% | + 5% |
アームカールの挙上重量 | + 5% | + 20% |
これに関しては「ダンベルロウを行ったらダンベルロウがより伸びて、アームカールを行ったらアームカールがより伸びた」つまり「ある特定のエクササイズを伸ばしたいのであれば、そのエクササイズに取り組むべき」という「特異性」を表していると言えるでしょう。
個人的な見解
冒頭で触れた「ラットプルダウン vs. アームカール」条件の研究では、上腕二頭筋を鍛える効果は同等でしたが、先ほど紹介した「ダンベルロウ vs. アームカール」条件の研究では、上腕二頭筋を鍛える効果はダンベルロウよりもアームカールの方が大きくなっており、予想していた通りの結果が得られました。
多関節種目としてダンベルロウを、単関節種目としてアームカールが採用されていますが、個人的な見解をお伝えすると、ダンベルロウは多関節種目と認識していません。
アームカールと同じ、単関節種目という位置付けです。
当然、フォームによっても変わってはくるのですが、ダンベルロウでは肩関節と肘関節が、確かに2つの関節が動いてはいます。
しかし、肩関節に関しては「広背筋等背中の筋肉を収縮させて動かしている」ものの、肘関節に関しては「広背筋等背中の筋肉を収縮させたことによって肘が高く上がり、それに伴って自然に (勝手に) 動いた (曲がった) 」と表現した方が適切な気がするのです。
これについて詳しく解説をすると、文字数がかなり長くなってしまうため省略しますが、少なくともスクワットにおける股関節と膝関節や、ベンチプレスにおける肩関節と肘関節とはワケが違います。
よって、表面上は「多関節種目 vs. 単関節種目」であったとしても、本質的には「主に背中を鍛える単関節種目 vs. 主に上腕を鍛える単関節種目」であり、とするのであれば、ダンベルロウよりもアームカールの方が、上腕二頭筋を鍛える効果は高くて当たり前という印象です。
最後に
今回は「【筋トレ】多関節種目? vs. 単関節種目 トレーニングの効果の違いについて」というタイトルで記事を書いてきましたがいかがだったでしょうか?
このトピックについて「スクワット vs. レッグエクステンション」とか「ベンチプレス vs. フレンチプレス」とか、また新たな報告が入りましたら追って紹介したいと思います。
次回作もご期待ください。