札幌市中央区東本願寺前駅にある、初心者向けスポーツジム フィットメソッドです。
今回は「筋トレで “その部位を1セット分鍛えた” とカウントする基準について」というタイトルで記事を書いていきます。
はじめに
今現在、トレーニングで大きな効果を出したいのであれば、セット数は「週あたり」で計算することが推奨されています。
というのは、
・1回あたりのセット数が異なれど、週あたりのセット数が統一されていれば、筋肉量増加や筋力向上において同様の効果が確認された (1) 。
・週あたりのセット数が多くなるほど、筋肉量増加や筋力向上における効果が大きくなった (2) (3) 。
との報告がなされているためです。
こういった類の研究はいくつも実施されており、それらをまとめると「1部位につき、週あたりのセット数は10 〜 15セット」で、筋肉量増加や筋力向上などのトレーニング効果を最大化できると考えられています。
しかし、この「1部位につき」は案外くせものかもしれません。
例えばアームカールは、上腕二頭筋を「メインターゲット」として鍛えることができる、単関節エクササイズとして認知されているため、これに関しては「アームカールを1セット行ったら、上腕二頭筋を1セット鍛えたとカウントする」と捉えてまず異論はないでしょう。
一方ラットプルダウンやダンベルロウは、上腕二頭筋「も」鍛えることができる、多関節エクササイズとして認知されているため、これに関しては「ラットプルダウンやダンベルロウを1セット行ったら、上腕二頭筋を1セット鍛えたとカウントして良いのだろうか?」という疑問が湧いてくる方もいらっしゃるはずです。
では “その部位を1セット分鍛えた” とカウントする基準を、どこに設ければ良いのかというと、
・単関節エクササイズ (アイソレーション種目) :「1セット」とカウントする
・多関節エクササイズ (コンパウンド種目) :「0.5セット」とカウントする
一般的には、このようにオススメされている印象を受けます。
つまり、上腕二頭筋を鍛えるとした場合「単関節エクササイズであるアームカールは1セット、多関節エクササイズであるラットプルダウンやダンベルロウは0.5セットとカウントしよう」ということです。
ただ、個人的な見解をお伝えすると、投げやりに聞こえるかもしれませんが、エクサイズの種類を問わず「ご自身が1セット鍛えたと感じたら、1セットとカウントする」が良い気がします。
単関節エクササイズは1セット 多関節エクササイズも1セット
先ほど、アームカール・ラットプルダウン・ダンベルロウの3エクササイズと、上腕二頭筋の関係についてを例に挙げましたが、実はこれらは以前に研究が実施されています。
Single vs. Multi-Joint Resistance Exercises: Effects on Muscle Strength and Hypertrophy
まず、アームカールとラットプルダウンですが、過去6ヶ月に渡ってトレーニング経験のない男性を対象に「アームカールを行うグループ」と「ラットプルダウンを行うグループ」に分け、上腕二頭筋の厚みがどのように変化するのかを調べています。
結果、両グループで上腕二頭筋の厚みは有意に増加しましたが、グループ間で有意差は確認されませんでした。
「アームカールもラットプルダウンも、上腕二頭筋を同様に鍛えることができる」と考察可能です。
Single-Joint Exercise Results in Higher Hypertrophy of Elbow Flexors Than Multijoint Exercise
次は、アームカールとダンベルロウですが、こちらも同じく過去6ヶ月に渡ってトレーニング経験のない男性を対象に「片方の腕はアームカールを行う」「もう片方の腕はダンベルロウを行う」に分け、上腕二頭筋の厚みがどのように変化するのかを調べています。
結果、両グループで上腕二頭筋の厚みは有意に増加しましたが、その程度はアームカールの方がダンベルロウよりも大きかったみたいです。
「アームカールはダンベルロウよりも、上腕二頭筋をより鍛えることができる」と言えるでしょう。
先述した通り、一般的に “その部位を1セット分鍛えた” とカウントする基準は、
・単関節エクササイズ (アイソレーション種目) :「1セット」とカウントする
・多関節エクササイズ (コンパウンド種目) :「0.5セット」とカウントする
このようにオススメされている印象を受けますが、しかしこうすると、アームカールとラットプルダウンではおそらく問題が生じます。
なぜなら、ラットプルダウンは多関節種目でありながら、単関節種目であるアームカールと同じくらい上腕二頭筋を鍛えることができるとの報告がなされており、にも関わらず「0.5セット」とカウントすると、オーバーワークに繋がるリスクが懸念されるためです。
ではいっそのこと、
・単関節エクササイズ (アイソレーション種目) :「1セット」とカウントする
・多関節エクササイズ (コンパウンド種目) :「1セット」とカウントする
このように同列に扱うと、今度はアームカールとダンベルロウでおそらく問題が生じます。
なぜなら、ダンベルロウは多関節種目であり、単関節種目であるアームカールよりも上腕二頭筋を鍛えることができないとの報告がなされており、にも関わらず「1セット」とカウントすると、十分に発達しないリスクが懸念されるためです。
つまり「 “その部位を1セット分鍛えた” とカウントする基準を、多関節エクササイズか? それとも単関節エクササイズか? で決めると問題が生じ、適切なトレーニングプログラムを組めないかもしれない」ということになります。
また、皆様すでにご存知のことと思いますが「そのエクササイズでどこを鍛えることができるか」は、フォームや可動域で大きく変わります。
よって、先行研究を元にして「上腕二頭筋を鍛えるにあたり、ラットプルダウンは1セットで、ダンベルロウは0.5セットでカウントしよう」としたとしても、それが皆様のラットプルダウンやダンベルロウに当てはまるかは全く不明です。
ということを踏まえると、投げやりに聞こえるかもしれませんが、やはり個人的な見解としては、単関節エクササイズ・多関節エクササイズ問わず「ご自身が1セット鍛えたと感じたら、1セットとカウントする」が良い気がします。
最後に
今回は「筋トレで “その部位を1セット分鍛えた” とカウントする基準について」というタイトルで記事を書いてきましたがいかがだったでしょうか?
次回作もご期待ください。
参考文献
(1) Training Volume, Not Frequency, Indicative of Maximal Strength Adaptations to Resistance Training
(2) The Effect of Weekly Set Volume on Strength Gain: A Meta-Analysis.
(3) Dose-response relationship between weekly resistance training volume and increases in muscle mass
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