札幌市中央区東本願寺前駅にある、初心者向けスポーツジム フィットメソッドです。
前回「上肢 vs. 上肢 + 下肢 下半身の筋トレは上半身にも影響を及ぼす」というタイトルで記事を書きました。
簡単にまとめると「腕だけ鍛えた場合と、腕にプラスして脚も鍛えた場合とでは、後者の方が腕の筋力がより向上することがわかった。どこか特定の部位を鍛えたい場合は、その鍛えたい部位を鍛えることがもちろん大切になるが、鍛えたい部位以外の部位も鍛えることをオススメする」的な感じです。
しかし、鍛えたい部位以外の部位をどのように鍛えるかで、鍛えたい部位の筋力向上・筋肥大効果は変わるかもしれません。
今回は「下半身のトレーニング内容で上半身の筋力向上・筋肥大効果が変わるって本当?」というタイトルで記事を書いていきます。
下半身のトレーニング内容が上半身の筋力・筋肥大効果に及ぼす影響
Effect of Lower-Body Resistance Training on Upper-Body Strength Adaptation in Trained Men
研究内容をザックリ書き出します。
トレーニング経験者を対象に「高強度 & 高強度グループ」と「高強度 & 高ボリュームグループ」の2つに分けた。
どちらのグループも、上半身のエクササイズは90%1RM前後の重量で4 〜 5回を5セット行った。
下半身のエクササイズは、
高強度 & 高強度グループ:90%1RM前後の重量で4 〜 5回を5セット
高強度 & 高ボリュームグループ:70%1RM前後の重量で10 〜 12回を5セット
行った。
週4回・6週間のトレーニング前後で、ベンチプレスの最大挙上重量や上腕の筋断面積がどのように変化するのかを調べた。
高強度 & 高強度 | 高強度 & 高ボリューム | |
ベンチプレス最大挙上重量 | + 2.1% | + 7.2% |
上腕筋断面積 | + 1.7% | + 5.8% |
両グループとも、ベンチプレスの最大挙上重量や上腕の筋断面積は有意に増加したが、高強度 & 高強度グループに比べて、高強度 & 高ボリュームグループでより大きかった。
この研究では、下半身のトレーニング内容が、上半身の筋力向上・筋肥大効果にどのような影響を及ぼすのかを調べています。
どちらのグループも、取り組んだエクササイズは全く同じで、
上半身:ベンチプレス・ラットプルダウン・バーベルロウ・フロントプレスなど
下半身:スクワット・レッグプレス・レッグエクステンション・レッグカールなど
ごく一般的なものになっており、下半身に限り、扱う重量と反復する回数が異なっていました。
そして、結果はどうだったのかというと、両グループとも、ベンチプレスの最大挙上重量や上腕の筋断面積は有意に増加しましたが、高強度 & 高強度グループに比べて、高強度 & 高ボリュームグループでより大きかったとのことです。
こうなった理由の1つとして「代謝ストレス」が考えられています。
筋力向上や筋肥大を促進する要素としては、
① mechanical tension (メカニカルテンション)
② muscle damage (筋肉の損傷)
③ metabolic stress (代謝ストレス)
以上3つが挙げられているのですが、③ の代謝ストレスは、例えば乳酸や無機リン酸の蓄積、テストステロン等アナボリックホルモン分泌量の増加など、いわゆる「化学的な刺激」のことで、一般的には、高強度よりも高ボリュームで増大するとされています。
ベンチプレスの最大挙上重量や上腕の筋断面積が、高強度 & 高強度グループに比べて、高強度 & 高ボリュームグループでより大きくなったわけは、後者の方がこの代謝ストレスが増大し、その影響が現れたからでしょう。
最後に
今回は「下半身のトレーニング内容で上半身の筋力向上・筋肥大効果が変わるって本当?」というタイトルで記事を書いてきましたがいかがだったでしょうか?
代謝ストレスの増大は、筋力向上・筋肥大において有効な戦略になりそうですので、タイミングを図って、トレーニング内容を見直しても良いかもしれません。
例えば、いつも高強度のベンチプレスに取り組んでいるのであれば、高ボリュームのスクワットも追加してみる、とか、逆に高強度のスクワットに取り組んでいるのであれば、高ボリュームのベンチプレスも追加してみる、とか、また高強度のベンチプレスを5セット行っているとしたら、最後の2セットは高ボリュームに変更してみる、とか。
もしかしたら、トレーニングの効果が今以上に出るかもしれませんし、プログラムを作成する面白さも感じられるはずです。
次回作もご期待ください。