札幌市中央区東本願寺前駅にある、初心者向けスポーツジム フィットメソッドです。
トレーニングでは、基本的に「力を入れて重りを持ち上げる局面」と「力を弱めて重りを下げる局面」の2つの動作から成り立ちます。
力を入れて重りを持ち上げる局面では筋肉が短縮しており「コンセントリック (収縮) 」、力を弱めて重りを下げる局面は筋肉が伸長しており「エキセントリック (収縮) 」と呼ばれるのですが、そのどちらも重りをコントロールしているという点は同じながら、得られるトレーニングの効果には違いがあるとされています。
今回は「コンセントリックとエキセントリック収縮による筋トレの効果の違い」というタイトルで記事を書いていきます。
※ コンセントリックとエキセントリックについて詳しく知りたい方は「筋肉の活動様式 コンセントリックとエキセントリックとは?」をご一読ください。
コンセントリック・エキセントリック、またはその両方がトレーニングの効果に及ぼす影響について
Comparison between concentric-only, eccentric-only, and concentric-eccentric resistance training of the elbow flexors for their effects on muscle strength and hypertrophy
研究内容をザックリ書き出します。
トレーニング未経験者を対象に「コンセントリックグループ」「エキセントリックグループ」「コンセントリック & エキセントリックグループ」の3つに分け、アームカールを週2回の頻度で5週間実施した。
トレーニングで扱う重量は、30% ⇨ 50% ⇨ 70% ⇨ と徐々に増加させ、10回・3セット行った。
トレーニング前後で、筋力や上腕二頭筋厚がどのように変化するのかを調べた。
コンセントリック | エキセントリック | コンセントリック & エキセントリック | |
筋力 | + 4.8% | + 11.0% | + 12.0% |
上腕二頭筋厚 | + 2.5% | + 9.7% | + 10.6% |
筋力と上腕二頭筋厚は、エキセントリックグループとコンセントリック & エキセントリックグループで、有意に同様に増加した。
この研究では、トレーニング未経験者を対象に、
・コンセントリック (ダンベルを持ち上げるだけのグループ)
・エキセントリック (ダンベルを下げるだけのグループ)
・コンセントリック & エキセントリック (ダンベルを持ち上げる & 下げるグループ)
の3つに分け、アームカール (厳密にはプリーチャーカール) を実施しています。
流れはこんな感じです。
・コンセントリックグループ:ダンベルを下から上に持ち上げて、持ち上がったところで補助者にダンベルを受け渡し、また下からスタートする。
・エキセントリックグループ:ダンベルを上から下に下げて、下がったところで補助者にダンベルを受け渡し、また上からスタートする。
・コンセントリック & エキセントリックグループ:自分自身でダンベルを反復させる
各グループは、扱う重量を徐々に増加させながら、10回・3セット行ったわけですが、コンセントリックグループは持ち上げて1回、エキセントリックグループは下げて1回、コンセントリック & エキセントリックグループは持ち上げて & 下げて1回、とカウントされており、コンセントリック & エキセントリックグループは、他の2グループと比較して、倍の運動量をこなしたことになります。
ちなみに、重さ・回数・セット数を掛け合わせたボリュームは、各グループ平均して、
・コンセントリック:2930kg
・エキセントリック:3035kg
・コンセントリック & エキセントリック:5745kg
です。
そして、結果はどうだったのかというと、筋力も上腕二頭筋厚も、コンセントリックグループは有意な変化なく、エキセントリックグループとコンセントリック & エキセントリックグループで、同様の増加が確認されました。
このように、エキセントリックグループで優れた改善が起きた理由は定かではありませんが、おそらく神経系や筋線維の構造なんかが関係していそうです。
個人的な感想
これと似たような研究は、これまでいくつかなされているのですが、どうもそれらを見る限り、コンセントリックよりもエキセントリックの方が、例えば力の増強や筋肥大に対する貢献度は高い印象を受けます。
もっとも「コンセントリックは、力の増強や筋肥大に一切貢献しない」というわけでは全くありません。
先ほど紹介した研究では、確かに筋力も上腕二頭筋厚も、コンセントリックグループは有意に変化していませんが、これは5週間という短い期間だったからであり、もっと長期では、しっかりと増加が確認されていた可能性は十分に考えられますし、むしろ「エキセントリックと同様の肥大が認められた」との報告もあったりします (1) 。
よって、コンセントリックもエキセントリックも、力の増強や筋肥大にはどちらも重要です。
しかし、エキセントリックは、力の増強や筋肥大に対して、ボリュームが半分なのにも関わらず、コンセントリック & エキセントリックと同様の増加が確認されていることを考えると、少なくともトレーニングを行う際は、特に力を弱めて重りを下げる局面で、より丁寧な動作を心がける意識を持った方が良いかもしれません。
最後に
今回は「コンセントリックとエキセントリック収縮による筋トレの効果の違い」というタイトルで記事を書いてきましたがいかがだったでしょうか?
次回作もご期待ください。
参考文献
(1) Skeletal Muscle Remodeling in Response to Eccentric vs. Concentric Loading: Morphological, Molecular, and Metabolic Adaptations