札幌市中央区東本願寺前駅にある、初心者向けスポーツジム フィットメソッドです。
今回は「つま先? かかと? スクワットの荷重・重心位置による効果の違いについて」というタイトルで記事を書いていきます。
スクワットにおける足底荷重位置の違いが下肢の筋活動や関節可動域に及ぼす影響
effect of center of pressure on muscle activations and joint range of motion of lower extremities during squat
研究内容をザックリ書き出します (説明をわかりやすくするため、省略している部分が多々あります) 。
トレーニング経験者を対象に、つま先・中心・かかとの3つの荷重位置でスクワットを実施し、その際の筋活動や関節可動域がどのように変化するのかを調べた。
つま先 | 中心 | かかと | |
大臀筋 下降局面 | 11.17 ± 7.68 | 11.37 ± 7.64 | 12.31 ± 8.79 |
大臀筋 上昇局面 | 32.31 ± 14.49 | 30.20 ± 14.05 | 33.12 ± 18.13 |
前脛骨筋 下降局面 | 0.78 ± 0.35 | 0.83 ± 0.32 | 1.05 ± 0.34 |
前脛骨筋 上昇局面 | 0.58 ± 0.40 | 0.61 ± 0.40 | 0.80 ± 0.42 |
腓腹筋 下降局面 | 6.59 ± 3.81 | 4.82 ± 3.19 | 3.73 ± 1.64 |
腓腹筋 上昇局面 | 8.54 ± 5.97 | 6.53 ± 4.99 | 4.65 ± 3.31 |
股関節屈曲角度 | 108.94 ± 9.44 | 107.95 ± 10.80 | 110.92 ± 11.70 |
膝関節屈曲角度 | 107.23 ± 8.99 | 108.26 ± 8.79 | 108.07 ± 9.41 |
足関節屈曲角度 | 31.83 ± 4.13 | 31.51 ± 3.57 | 29.99 ± 5.06 |
① 大臀筋・前脛骨筋の筋活動は、かかと荷重で大きかった。
② 腓腹筋の筋活動は、つま先荷重で大きかった。
③ 股関節屈曲角度は、かかと荷重で大きかった。
④ 膝関節屈曲角度は、荷重位置の違いで有意な差が見られなかった。
⑤ 足関節屈曲角度は、つま先荷重で大きかった。
この研究では、3年以上のトレーニング経験がある10名の男性を対象に、太ももが床と平行になるまでしゃがむようスクワットを実施し、つま先・中心 (足の裏の真ん中) ・かかとの3つの荷重位置で、下肢の筋活動や関節可動域がどのように変化するのかを調べています。
そして、結果はどうだったかというと、大臀筋 (お尻) ・前脛骨筋 (スネ) の活動はかかと荷重で、腓腹筋 (ふくらはぎ) の活動はつま先荷重で大きくなり、股関節はかかと荷重で、膝関節は荷重位置の違いで有意な差が見られず、足関節はつま先荷重でその屈曲角度が大きくなっています。
このような結果が得られた理由ですが、荷重位置を変えたことで、バランスを取るための姿勢 (フォーム) も変化したからでしょう。
実際に動作を行ってもらえれば体感できるかと思うのですが、荷重位置をつま先にすると膝が前方に移動し上体は直立気味に、荷重位置をかかとにすると膝は後方に移動し上体は前傾気味になるはずです。
そのフォームの違いが、こんな感じでデータに表れたのだと思われます。
そのため、一旦「関節への負担」とか「やりやすさ」とかはおいておき、スクワットを行う際、大臀筋や前脛骨筋をより鍛えたいのであればかかと荷重、腓腹筋をより鍛えたいのであればつま先荷重を試してみても良いかもしれません。
最後に
今回は「つま先? かかと? スクワットの荷重・重心位置による効果の違いについて」というタイトルで記事を書いてきましたがいかがだったでしょうか?
ちなみに、今回紹介した内容と同じような研究はいくつかなされているのですが、一致した見解は得られていないものの、スクワットをはじめとした「しゃがむ」系のエクササイズでは、
・つま先荷重:大腿四頭筋 (前もも) ・前脛骨筋に大きな刺激
・かかと荷重:脊柱起立筋 (腰) ・大臀筋・腓腹筋に大きな刺激
こんな感じになるかな、といった印象を受けます。
もっとも、トレーニングの効果に囚われすぎるあまり、フォームが乱れては怪我のリスクも高まるでしょうから、そこを注意して臨機応変に対応していただけると幸いです。
次回作もご期待ください。