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トレーニング

筋トレの動作スピード “速度” は速く or ゆっくり どっちが良い?

札幌市中央区東本願寺前駅にある、初心者向けスポーツジム フィットメソッドです。

筋力の向上・筋肉量の増加といったトレーニングの効果は、どれくらいの重さを扱うのか? どれくらいの回数を反復するのか? どれくらいの時間インターバルを取るのか? などの変数によって変わってきますが、その中の1つに「動作スピード (速度) 」が考えられています。

今回は「筋トレの動作スピード “速度” は速く or ゆっくり どっちが良い?」というタイトルで記事を書いていきます。

※ スピード (speed) は速さでスカラー、速度はベロシティ (velocity) でベクトル、厳密には違う量ですが、ここではあまり気にせず混同しています。

結論

これまでに報告された科学的知見や、個人的な経験論も併せると、コンセントリック局面では「気持ち速め」エキセントリック局面では「気持ちゆっくりめ」が良いかと思います。

あくまでもイメージですが、コンセントリック局面は「1 〜 2秒以内」エキセントリック局面は「1 〜 2秒以上」みたいな感じです。

理由を説明していきます。

コンセントリック・エキセントリックについて

本題に入る前に、先ほど登場した「コンセントリック」と「エキセントリック」という2つの用語について確認をしていきましょう。

トレーニングは、基本的に自体重やバーベルなどの重りを「上げる局面」と「下げる局面」からなりますが、この「上げる」をコンセントリック「下げる」をエキセントリックと言います (簡潔に噛み砕いています)

スクワットを例に出すと「しゃがむ ⇨ 直立する」ところがコンセントリック局面「直立する ⇨ しゃがむ」ところがエキセントリック局面です。

これに関しては、次回詳しく記事にする予定ですので、このまま下まで読み進み、リンクよりお進みいただければ幸いです。

動作スピード (速度) とトレーニングの効果について

ではここから本題に入っていきますが、動作スピード (速度) が、トレーニングの効果にどのような影響を及ぼすのかを調べた研究はいくつかあり、システマティックレビューという形で、2015年に報告されています (1) 。

システマティック・レビュー (英語: systematic review) または系統的レビューとは、文献をくまなく調査し、ランダム化比較試験 (RCT) のような質の高い研究のデータを、出版バイアスのようなデータの偏りを限りなく除き、分析を行うことである。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア (Wikipedia) 』

それによると「往復にかける秒数が10秒以上だと、筋肉量の増加効果が薄れる可能性がある。一方、往復にかける秒数が0.5 〜 8秒の範囲であれば、筋肉量の増加効果は同等」とのことです。

トレーニングにおける動作スピード (速度) は、もちろんその人それぞれで変わるでしょうが、色んな方の筋トレを見てきた身としては、スーパースローなど特殊なやり方でない限り、往復にかける秒数が10秒を超えることはまずありません。

また、往復にかける秒数が0.5 〜 8秒の範囲は、個人的な感覚だと「かなり速く 〜 かなりゆっくり」に該当するかな、、という印象を受けます。

よって「ごく一般的な」と言いますか、速過ぎずゆっくり過ぎずであろう動作スピード (速度) でトレーニングを行っているのであれば、そのまま継続されて問題はないはずです。


先ほど「往復にかける秒数が0.5 〜 8秒の範囲であれば、筋肉量の増加効果は同等」と結論づけられたレビューを紹介しましたが、そこで取り上げられた研究のうちのいくつかには、ちょっとした問題点が見つかっており、そんな理由もあってか、2018年、また別のシステマティックレビューが報告されています (2) 。

それによると、

・上腕二頭筋:2件の研究のうち2件ともに、速めの方がゆっくりめの動作よりも、筋肉量の増加効果は大きかった。
・大腿四頭筋:5件の研究のうち3件で、速めよりもゆっくりめの動作の方が、筋肉量の増加効果は大きかった。他の研究では、1件が速めの動作のみで、もう1件がゆっくりめの動作のみで筋肉量の増加が確認された。

とのことです。

筋肉量の増加において、上腕二頭筋は速めの動作が、大腿四頭筋はゆっくりめの動作が効果的で、特定の部位により、有効な動作スピード (速度) が異なる可能性を示唆しています。


本題に入る前で触れた通り、基本的にトレーニングは、コンセントリック局面とエキセントリック局面からなります。

ここまで2つのレビューを紹介しましたが、それらでは、2つの局面の動作スピード (速度) について分けた検討はされていません。

例えば、往復にかける秒数が同じ6秒であったとしても「コンセントリック局面で1秒、エキセントリック局面で5秒」と「コンセントリック局面で5秒、エキセントリック局面で1秒」では、トレーニングの効果が変わる可能性が考えられます。

そして、2021年、私が把握している限り一番新しいシステマティックレビューでは「コンセントリック局面は速めに、エキセントリック局面はゆっくりめに、の組み合わせが、筋力の向上・筋肉量の増加に最も効果的な可能性がある」との報告がなされました (3) 。

コンセントリック局面を速く動作することで、神経適応と筋力の向上を誘発するに十分な刺激を加えることができ、エキセントリック局面をゆっくり動作することで、筋の緊張時間を確保し筋肉量の増加を促進できる、とのことです。


では、具体的な動作スピード (速度) はどれくらいが良いのかというと、これに関しては「時速〇〇」「秒速〇〇」と表記するのは現実的ではないため、基本的には「〇〇秒」と表されるのですが、厳密にはわかりません。

一応、他の文献も読んでみると「コンセントリック局面は2 〜 3秒、エキセントリック局面は3 〜 5秒」と記述されていたりもするのですが、その根拠が明示されていない状況です。

よって、トレーニングの動作スピード (速度) について指導をする際は「コンセントリック局面では気持ち速めに、エキセントリック局面では気持ちゆっくりめに」と、大雑把ですがこうお伝えしています。

以前は「コンセントリック局面では爆発的にできるだけ速く」と指示を出したことがあったのですが、こうするとフォームが乱れる方が多く、また「エキセントリック局面では5秒くらいかけてできるだけゆっくり」と指示を出したこともあったのですが、こうすると今度は扱える重さが下がってしまった経験があります。

そのため、あくまでもイメージとしてですが「コンセトリック局面は1 〜 2秒以内、エキセントリック局面は1 〜 2秒以上」みたいな感じが良いでしょう。

最後に

今回は「筋トレの動作スピード “速度” は速く or ゆっくり どっちが良い?」というタイトルで記事を書いてきましたがいかがだったでしょうか?

次回作もご期待ください。

 

参考文献

(1) Effect of repetition duration during resistance training on muscle hypertrophy: a systematic review and meta-analysis

(2) Effect of movement velocity during resistance training on muscle-specific hypertrophy: A systematic review

(3) The Influence of Movement Tempo During Resistance Training on Muscular Strength and Hypertrophy Responses: A Review

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