札幌市中央区東本願寺前駅にある、初心者向けスポーツジム フィットメソッドです。
二の腕の裏側、上腕三頭筋を鍛えるエクササイズの1つに「フレンチプレス」と呼ばれる種目があります。
フレンチプレスでは、上に貼り付けた動画にあるよう「手を頭上へと挙上し、ダンベルを (またはケーブルやバーベルを) 上げ下げする = 肘関節を屈曲・伸展させる」という動きを伴うのですが、この際の「肘の位置」に関してはトレーニーの間でも結構意見が分かれ、
・常にこめかみに近づける必要はない。肘が横に開いても大丈夫 (むしろその方が良い) 。
・常にこめかみに近づけるべき。肘は極力閉じ気味で。
というパターンがあり、果たしてどちらが正解なのか悩まれている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は「フレンチプレスでは肘を開くべきか? それとも閉じるべきか? 上腕三頭筋への効果」というタイトルで記事を書いていきます。
結論
最初に結論からお伝えしますと、個人的な見解としては後者寄りで「可能な範囲で、肘はこめかみに近づけるに越したことはない」と考えています。
以下がその理由です。
フレンチプレス vs. プッシュダウン
まず、上腕三頭筋は「長頭」「内側頭」「外側頭」と呼ばれる3つの部位から構成されており、全て肘関節の伸展作用 (肘を伸ばす働き) を有しているのですが、各筋頭の付着位置には違いが見られ、長頭のみ肩甲骨の関節下結節より始まります。
イラスト ⇦ をタップで上腕三頭筋のイラストが出現します。
聞き慣れない単語が羅列しているかもしれませんが、上腕三頭筋の長頭は構造の関係で「フレンチプレスのように、手を頭上へと挙上した姿勢でビキーッッと伸ばされる」と覚えていただければ問題ないかと。
筋肉量の増加を目的としたトレーニングでは、対象となる筋にストレッチをかける (ビキーッッと伸ばす) ことでその効果が高まるとの報告がいくつもなされており、よってフレンチプレスでは、上腕三頭筋を鍛える数あるエクササイズの中でも、特に長頭に対する肥大が大きくなると推測されます。
そして今から2年前の2023年、フレンチプレスとプッシュダウンにおける、上腕三頭筋への肥大効果を調べた研究が実施されました。
Triceps brachii hypertrophy is substantially greater after elbow extension training performed in the overhead versus neutral arm position
ちなみに、プッシュダウンは下に貼り付けた動画にあるよう、肘を脇腹に近づけた姿勢で動作を行うため、上腕三頭筋の長頭に対してストレッチは生じません。
結果はどうなったのかというと「どちらのエクササイズも有意な肥大が確認されたが、フレンチプレスの方がプッシュダウンよりも大きかった」となりました。
上腕三頭筋 | フレンチプレス | プッシュダウン |
長頭 | + 28.5% | + 19.6% |
内側頭・外側頭 | + 14.6% | + 10.5% |
全体 | + 19.9% | + 13.9% |
先述したように、上腕三頭筋の長頭に対するストレッチは、フレンチプレス > プッシュダウンであるため、その部位の肥大が大きくなることは推測通りですが、予想に反して内側頭・外側頭にも同様の効果が確認されています。
・フレンチプレスでは、強いストレッチがかかる関係で長頭の力発揮が弱まり、その分内側頭や外側頭への負担が増加した。
・フレンチプレスでは、手を頭上へと挙上する関係で血流の減少が起こり、筋内の代謝ストレスが増加した。
の2点がその理由として考えられるとのことです。
ではここから、本題である「肘を開くべきか? それとも閉じるべきか?」について触れていきますが、フレンチプレスとプッシュダウンで先に記載した結果が得られたことを考慮すると、上腕三頭筋に対する肥大効果の面では、おそらく後者の方が良いかと思われます。
フレンチプレスで肘を開くと、
・強いストレッチがかかる関係で長頭の力発揮が弱まり、その分内側頭や外側頭への負担が増加した。
・手を頭上へと挙上する関係で血流の減少が起こり、筋内の代謝ストレスが増加した。
が、起こりにくくなると判断できるためです。
もっとも、肘を開こうが閉じようが、同じフレンチプレスには変わりありませんので、上腕三頭筋に対する肥大効果には差がほぼ出ない可能性も十分に考えられますが、いわゆる塵も積もれば何とかで、このような理由から「可能な範囲で、肘はこめかみに近づけるに越したことはない」と考えています。
最後に
今回は「フレンチプレスでは肘を開くべきか? それとも閉じるべきか? 上腕三頭筋への効果」というタイトルで記事を書いてきましたがいかがだったでしょうか?
なお、フレンチプレスは肩関節周辺の柔軟性が要求される、比較的難度の高いエクササイズになっています。
確かに「肘はこめかみに近づけるに越したことはない」と考えているのは事実ですが、無茶をし怪我をしては元も子もありませんので「可能な範囲で」を守るようにしましょう。
次回作もご期待ください。
札幌市近郊にお住いの方は、
ぜひ フィットメソッド をご利用ください。