札幌市中央区東本願寺前駅にある、初心者向けスポーツジム フィットメソッドです。
トレーニングには、様々な追い込み法が存在しますが、その中でも有名なものの1つに「事前疲労法」と呼ばれるテクニックがあります。
事前疲労法は、別名「予備疲労法」「プレ・エキゾースト法」とも呼ばれており、文字通り「ターゲットとする筋を、メインエクササイズの前に疲弊させておくことで、より大きな刺激を与え、更なる発達を促進する」という方法です。
大胸筋を例に出すと、
① プレエクササイズ:ダンベルフライを実施。まずは大胸筋をピンポイントで集中的に追い込む。
② メインエクササイズ:ベンチプレスを実施。上腕三頭筋や三角筋などにも刺激が入るが、すでに追い込みをかけた大胸筋に強い負荷が生じる。
基本的には「単関節種目 ⇨ 多関節種目」このような流れになっています。
先述した通り、事前疲労法は有名なトレーニングテクニックの1つとして挙げられるのですが、効果はいかがなものなのでしょうか?
今回は『筋トレの「事前疲労法」とは? トレーニングの効果が変わるって本当?』というタイトルで記事を書いていきます。
事前疲労法 vs. ドロップセット法 vs. 従来法
Equated volume load: similar improvements in muscle strength, endurance, and hypertrophy for traditional, pre-exhaustion and drop sets in resistance training
研究内容をザックリ書き出します。
過去1年間トレーニング経験のない男性を対象に、彼らを「事前疲労法」「ドロップセット法」「従来法」の3グループに分けた。
週2回の頻度で計6週間、レッグプレスとレッグエクステンションを行い、筋力・筋肉量がどのように変化するのかを調べた。
事前疲労 | ドロップセット | 従来 | |
レッグプレス1RM (%) | + 25.38 | + 23.17 | + 22.79 |
レッグエクステンション1RM (%) | + 18.68 | + 28.63 | + 21.94 |
大腿四頭筋厚 (%) | + 25.15 | + 24.62 | + 23.53 |
結果、3グループともに筋力・筋肉量は増加し、グループ間で差は確認されなかった。
この研究では、被験者を「事前疲労法」「ドロップセット法」「従来法」の3グループに分け、レッグプレスとレッグエクステンションによるトレーニングを実施しています。
各グループのプログラムは以下の通りです。
セット (休憩はセット間3分) | 事前疲労 | ドロップセット | 従来 |
1 | エクステンション | プレス | プレス |
2 | プレス | プレス | プレス |
3 | プレス | プレス | プレス |
4 | プレス | エクステンション | プレス |
5 | エクステンション | エクステンション | エクステンション |
6 | エクステンション | エクステンション | エクステンション |
7 | エクステンション | エクステンション | エクステンション |
8 | エクステンション | エクステンション | エクステンション |
事前疲労法:まずはレッグエクステンションを30%1RMで限界まで (赤文字) 。そのあとはレッグプレスを70%1RMで8 〜 12回3セット。再びレッグエクステンションを30%1RMで限界まで。そのあとはレッグエクステンションを70%1RMで8 〜 12回3セット。
ドロップセット法:レッグプレスを70%1RMで8 〜 12回3セット。そのあとでレッグエクステンションを30%1RMで限界まで。今度はレッグエクステンションを70%1RMで8 〜 12回3セット。そのあとでレッグエクステンションを30%1RMで限界まで。
従来法:レッグプレスを70%1RMで8 〜 12回4セット。レッグエクステンションを70%1RMで8 〜 12回4セット。
つまり、事前疲労法は「レッグエクステンションで、太もも前の筋肉 大腿四頭筋を最初に追い込んでおいたよ」ドロップセット法は「レッグエクステンションで、太もも前の筋肉 大腿四頭筋を最後に追い込んだよ」だと思っていただければ問題ないかと。
そして結果ですが、レッグプレスの挙上重量・レッグエクステンションの挙上重量・大腿四頭筋の厚みにおいて、3グループともに増加しましたが、グループ間で差は確認されなかった = 効果は同等だった、とのことです。
個人的な感想
繰り返しになりますが、事前疲労法は有名なトレーニングテクニックの1つとして挙げられており、筋肉の更なる発達を促進すると考えられているのですが、この研究結果を見る限りでは、どうもそのような効果はなさそうです。
また、筋力・筋肉量以外にも、重さ・回数・セット数を掛け合わせた「ボリューム」や「筋肉痛」そのほか「主観的運動強度 (キツさ) 」も調べられており、
事前疲労 | ドロップセット | 従来 | |
ボリューム | 13,470kg | 13,490kg | 13,522kg |
筋肉痛 | 3.22 | 3.34 | 2.82 |
主観的運動強度 | 6.91 | 6.40 | 5.93 |
ボリュームは、3グループで同等だったものの、筋肉痛や主観的運動強度に関しては、事前疲労法とドロップセット法で従来法よりも高くなっています。
もっとも、こういったデータが得られた背景には、こういったプログラムがあったからこその話ですので、異なったやり方の事前疲労法やドロップセット法では、違った結論になっていたかもしれませんが、少なくとも今現段階では、何か特別なメリットを見出せない限り、従来法を選択した方が良いかもしれません。
最後に
今回は『筋トレの「事前疲労法」とは? トレーニングの効果が変わるって本当?』というタイトルで記事を書いてきましたがいかがだったでしょうか?
次回作もご期待ください。