札幌市中央区東本願寺前駅にある、初心者向けスポーツジム フィットメソッドです。
一般的に、トレーニングを行う際は何らかの器具を用いて、筋に外的な負荷をかけます。
バーベルであったりゴムチューブであったり、場合によっては自分の体重などが良い例でしょうか。
しかし、実はただ “力む” だけでも筋肉に負荷は生じます。
上のイラストは人の右腕を表したものですが、仮に肘を90度に曲げ目一杯腕に力を込めたとしましょう。
触ってもらえればわかるかと思いますが、赤丸の上腕二頭筋と青丸の上腕三頭筋がググッと硬くなっているはずです。
上腕二頭筋は前腕を赤矢印の方向、つまり肘を屈曲させる作用を持ち、上腕三頭筋は前腕を青矢印の方向、つまり肘を伸展させる作用を持ちます。
「肘を90度に曲げ目一杯腕に力を込める」という状態は「上腕二頭筋と上腕三頭筋の力が互いに拮抗している状況」と言い換えることができ、イメージとしてはブレーキを踏みながらアクセルを吹かす感じです。
これは「co-contraction」や「随意同時収縮」と呼ばれており、相反する筋が同時に収縮する現象を指します。
「上腕二頭筋は上腕三頭筋によって負荷をかけられ、また逆も然り」と捉えることができるでしょう。
そうすると、ここでふと疑問が湧いてきませんか?
「この随意同時収縮、十分なトレーニング刺激になるのではないだろうか? そして、筋肉量や筋力を増加させることができるのではないだろうか?」と。
今回は「ただ “力む” というトレーニング法の効果 筋肉量や筋力は増加するのか?」というタイトルで記事を書いていきます。
随意同時収縮による筋肉量や筋力への影響について
Neuromuscular adaptations following 12-week maximal voluntary co-contraction training
研究内容をザックリ書き出します。
過去1年間に渡り定期的な運動経験のない若年男性を対象に、利き腕の随意同時収縮トレーニングを週3回の頻度で12週間実施した。
肘関節を90度に固定し「最大限の力による4秒間の随意同時収縮 ⇨ 4秒間の弛緩」これを10回を1セットとし、計5セット・セット間休憩は2分で行った。
研究前後で、上腕二頭筋と上腕三頭筋の筋肉量 (筋厚) や筋力 (最大等尺性トルク) がどのように変化するのかを調べた。
項目 | 変化率 |
上腕二頭筋 筋肉量 | + 4% |
上腕三頭筋 筋肉量 | + 4% |
上腕二頭筋 筋力 | + 15% |
上腕三頭筋 筋力 | + 46% |
結果、上腕二頭筋と上腕三頭筋の筋肉量や筋力は有意に増加した。
この研究では、過去1年間に渡り定期的な運動経験のない若年男性を対象に、利き腕の随意同時収縮トレーニングを週3回の頻度で12週間実施し、上腕二頭筋と上腕三頭筋の筋肉量や筋力への影響についてを調べています。
そして結果は読み通りで、全ての項目で有意な増加が確認されました。
特に筋力に関しては、上腕二頭筋よりも上腕三頭筋の方で大きく変化していますが、これは筋活動レベルの差によるものと考察されています。
上腕二頭筋は、上腕三頭筋が発生させた力を打ち消す程度にしか活性しなく、つまり上腕二頭筋の「10」の力に対抗するためには、上腕三頭筋は「15」の力を出す必要があり、それがデータとして表れた感じです。
また「ごく一般的な」「ごく通常の」と言いますか、スポーツジムなんかで見られる従来のトレーニングにおける、筋肉量や筋力への効果を調べた先行研究と比較する限り、随時同時収縮トレーニングでも同様の結果が期待できるかもしれません。
所感
個人的な経験論から、随意同時収縮トレーニング法でも、それなりの効果 (筋肉量や筋力の増加) が得られるという認識はあったのですが、想像している以上に大きく驚きました。
しかし「随意同時収縮トレーニング法を推奨できるか?」と聞かれると、その答えは「基本的にはNo」となります。
理由はいくつかあるのですが、強調したい点を2つ挙げるとするならば「他の部位への応用が利きにくい」と「他のメリットが享受しにくい」でしょうか。
まず1点目の「他の部位への応用が利きにくい」ですが、腕であれば難度は低いものの、これが胸・背中・腹・腰・大腿・下腿などが対象になると、そもそもそれらの筋肉を意識しにくく、十分なトレーニング効果を得られない可能性が考えられます。
「上腕二頭筋と上腕三頭筋を拮抗させ、目一杯腕に力を込めたように、大胸筋と僧帽筋を拮抗させ、目一杯胴体上部に力を込めましょう」と言われたところで、これを上手にできる方はほぼいないはずです。
つぎ2点目の「他のメリットが享受しにくい」ですが、トレーニング効果は筋肉量や筋力の増加だけでなく、例えば骨密度の上昇であったり、柔軟性の向上であったりと多岐に亘ります。
しかし、それらは高負荷を扱ったり、広い関節可動域を取ることではじめて得られるものです。
ということを踏まえると、鍛えにくい部位があったり、高負荷を扱わない & 広い関節可動域を取ることがない随意同時収縮トレーニング法を、従来のトレーニング法を差し置いてまで、メニューに組み込む必要性はほぼ感じません。
よって、基本的には従来のトレーニング法を選択し、状況に応じて随意同時収縮トレーニング法も検討するという流れをオススメしています。
最後に
今回は「ただ “力む” というトレーニング法の効果 筋肉量や筋力は増加するのか?」というタイトルで記事を書いてきましたがいかがだったでしょうか?
結構マニアックなテーマでした。
次回作もご期待ください。
札幌市近郊にお住いの方は、
ぜひ フィットメソッド をご利用ください。