なぜ虫は力が強いのか？ 体重と体積・筋力と筋断面積の関係について

札幌市中央区東本願寺前駅にある、初心者向けスポーツジム フィットメソッドです。

今回は「なぜ虫は力が強いのか？ 体重と体積・筋力と筋断面積の関係について」というタイトルで記事を書いていきます。

はじめに

蟻やカブトムシをはじめとした「虫」は、非常に力が強いとの話を時々耳にします。

自身の何十倍もある餌を引っ張ったり、状況によってはそれを持ち上げたり、人間サイズに直すととてつもない重さに対抗できる力を持っているみたいです。

しかしこれ、実はカラクリがあります。

体重と体積・筋力と筋断面積

まず、生物の体重は「体積」に、そして筋力は「筋断面積」に比例します。

体積はその空間に占める領域の大きさを示す量で、筋断面積は文字通り腕や脚を輪切りにスパッと切った時に現れる筋肉の切り口の量です。

例えばここに、身長160㎝・幅50㎝・厚み30㎝の男性がいたとしましょう。

説明をわかりやすくするため、その方を完全な立方体として話を進めていきますが (あり得ない話ですが) 、体積は160㎝ × 50㎝ × 30㎝となり「240,000㎤」です。

彼のサイズを2倍にした場合は、320㎝ × 100㎝ × 60㎝となり「1,920,000㎤」です。

つまり、身長・幅・厚みが2倍になると、体積は「8倍」にまで膨れ上がります (1,920,000㎤ ÷ 240,000㎤) 。

今度は筋断面積ですが、筋肉も完全な正方形として話を進めて (あり得ない話ですが) 、元々10㎝ × 10㎝で「100㎠」あったとしましょう。

彼のサイズを同じく2倍にした場合は、20㎝ × 20㎝となり「400㎠」つまり、筋断面積は「4倍」に膨れ上がります (400㎠ ÷ 100㎠) 。

ここまでの話を一旦まとめると、サイズが2倍になった場合は「体積8倍」「筋断面積4倍」です。

これは「2乗3乗の法則」などと呼ばれています。

ではここから、本題である「なぜ虫は力が強いのか？」に触れていきますが、この理由は「身体が小さいため」です。

サイズが大きくなると、体積は筋断面積よりもはるかに増加しますが、見方を変えると「体重は筋力よりもはるかに増加する」と言い換えることができます。

要は「サイズが大きくなればなるほど、体重あたりの発揮できる筋力は減少する。サイズが小さくなればなるほど、体重あたりの発揮できる筋力は増大する」ということです。

よって、例えばサイや象といった大型の生物は、絶対的な筋力は凄まじいものの、虫のように体重の何倍もある餌を引っ張ったり、ましてやそれを持ち上げたりすることはできません。

一方、蟻やカブトムシといった小型の生物は、絶対的な筋力は小さいものの、体重比で見ると相当な力持ちに分類されます。

これが、虫の力が強い理由です。

最後に

今回は「なぜ虫は力が強いのか？ 体重と体積・筋力と筋断面積の関係について」というタイトルで記事を書いてきましたがいかがだったでしょうか？

フィットネスとは全く関係がないようなブログでしたが、実はこれトレーニングにも応用が可能です。

スクワットやベンチプレスの話になると「スクワットは体重の〇倍、ベンチプレスは体重の〇倍の挙上が理想だ」みたいなセリフがよく出るのですが、一見平等に感じはするものの、小柄な方には有利な、でも大柄な方には不利な内容になっています。

このトピックについては、いずれ別で紹介するつもりです。

次回作もご期待ください。