札幌市中央区東本願寺前駅にある、初心者向けスポーツジム フィットメソッドです。
皆様ご存知の通り、トレーニングの効果は使用重量・反復回数・こなすセット数などで変わりますが、セット間休憩の仕方、つまり「セットとセットの間に挟む休憩をどのように過ごすか?」によっても影響が及ぶ可能性が示唆されています。
そのため、トレーニングの効果をより高めたいのであれば、セット間休憩の仕方を見直し、または工夫してみるのも面白いかもしれません。
今回は「セット間休憩中に有酸素運動を行うとトレーニングの質が高まるって本当?」というタイトルで記事を書いていきます。
セット間休憩中の有酸素運動について
「セット間休憩の仕方」は、結構マニアックなテーマではありますが、今から5年前の2019年に、システマティックレビューという形で報告がなされています。
2018年の3月までに実施された、セット間休憩の仕方とパフォーマンスの関係性を調べた論文を集め、それらをまとめたわけです。
詳しくは上のリンク先をご覧いただきたいのですが、セット間休憩中の有酸素運動については、合計で5本の論文が採用されました。
個人的に重要だと思われる点は以下の通りです。
・全ての研究でではないが、有酸素運動を行うことによって、反復回数の増加・血中乳酸濃度の低下・自覚的運動強度の低下などが認められた。
・有酸素運動を行うことによって、パフォーマンスが低下したとする研究はなかった。
・有酸素運動の強度で、上記メリットを得られるかどうかが変わる可能性がある。
・有酸素運動の様式でも、上記メリットを得られるかどうかが変わる可能性がある。
・しかし、有酸素運動を行うことによって、仮にパフォーマンスが向上したとしても、長期的なトレーニングの効果においては、そのメリットが打ち消される可能性がある。
これらの点をサクッと解説していきます。
まず、全ての研究でではありませんが、有酸素運動を行うことによって、反復回数の増加・血中乳酸濃度の低下・自覚的運動強度の低下などが認められたとのことです。
例えば「反復回数の増加」に関しては、トレーニング経験者を対象に「座って休むグループ」「低強度のエアロバイクを行うグループ」「高強度のエアロバイクを行うグループ」の3つに分け、高重量のスクワットを6セット実施した後、低重量のスクワットで何回反復できるかに挑戦しているのですが、
座って休む | 低強度 | 高強度 | |
反復回数 | 24.1 ± 1.8 回 | 29.3 ± 1.8 回 | 23.1 ± 1.7 回 |
低強度のエアロバイクは、休む・高強度のエアロバイクと比較して、有意に反復回数が多くなりました。
反復回数が多くなれば、その分大きな刺激を筋肉に与えることに繋がるため、長期的なトレーニングの効果を高める可能性が考えられます。
また、有酸素運動を行うことによって、パフォーマンスが低下した (反復回数が減ったとか) とする研究は、少なくともこのシステマティックレビューで採用された5本の論文には見つからなかったみたいです。
しかし、有酸素運動を行ったとしても、先ほど表に示したように、メリットが得られなかったデータも存在します (高強度のエアロバイクでは反復回数の増加が認められていません) 。
有酸素運動を行うことによって、メリットを得られるかどうかは、その「強度」や「様式」がポイントになりそうです。
強度は「負荷の程度・努力の度合い」を意味しており、軽く汗ばむくらいなら低め、激しく息が切れるなら高め、様式は「種類・形態」を意味しており、代表的なものとしてはエアロバイク・ランニングなどが挙げられます。
具体的な線引きをすることはできませんが、もし有酸素運動を行うのであれば、強度も様式も「疲労を溜めないレベルで」が、メリットを得るための重要な要素になるでしょう。
そして、ここからが一番大切なところなのですが、有酸素運動を行うことによって、仮にパフォーマンスが向上したとしても、長期的なトレーニングの効果においては、そのメリットが打ち消される可能性があるかもしれません。
先ほどお伝えした通り、有酸素運動を行うことによって、反復回数の増加が認められましたが、この理由には「血中乳酸濃度の低下」が候補の1つになると考察されています。
今現在「乳酸」は運動から生じる疲労の主たる原因ではなく、むしろそれ自体がエネルギー源として活用されると知られており、世間一般が思うような悪者では決してありません。
とは言えど、乳酸がある一定量蓄積された場合、身体が酸性に傾き (アシドーシスと呼ばれます) 、筋肉の収縮を阻害するリスクが考えられます。
つまり、乳酸は「直接的」な疲労の原因ではなくとも「間接的」な疲労の原因にはなりうるということです。
省略している部分もありますが、大まかな流れとしては「有酸素運動を行う ⇨ 血流が促進・改善される ⇨ 血中乳酸濃度が低下する ⇨ アシドーシスを抑制する ⇨ 反復回数が増加する」このようにイメージしていただければ問題ないでしょう。
一方で、特に筋肥大においては、乳酸などの代謝物がカギになる可能性が示唆されています。
要は「たとえ反復回数が増加して、それが長期的なトレーニングの効果に有益であろうと、血中乳酸濃度が低下すれば、これは長期的なトレーニングの効果に害悪をなす恐れがあり、結局メリットが打ち消されるのでは?」という推測です。
セット間休憩中に有酸素運動を行うべきか?
ここまでを一旦まとめると、
・強度や様式にもよるが、セット間休憩中に有酸素運動を行うことによって、反復回数の増加など、トレーニングの質が高まる可能性は十分にある。
・しかし、セット間休憩中に有酸素運動を行うことによって、特に筋肥大をはじめとした長期的なトレーニング効果においては、逆にデメリットとして働くかもしれない。
こんな感じでしょうか。
では結局のところ、有酸素運動を行うべきかどうかというと、これは完全に個人的な見解ですが「どちらでもOK! ただ、もし有酸素運動を行うのであれば、その近辺を邪魔にならない範囲でうろちょろ歩くくらいが丁度良いかも」と考えています。
まず「どちらでもOK!」の部分ですが、これまでの指導や自身の経験を元にするならば、有酸素運動を行おうと行わなかろうと、長期的なトレーニングの効果に大きな差がつくことはほぼない印象です。
若干投げやりな言葉になってしまいますが「お好きなように」で問題ないかと思われます。
次に「ただ、もし有酸素運動を行うのであれば、その近辺を邪魔にならない範囲でうろちょろ歩くくらいが丁度良いかも」の部分ですが、そのジムの機材配置であったり、セット間休憩の時間を考慮すると、エアロバイクを漕ぐとかランニングマシンで走るとか、そういった類の有酸素運動は、マナーとか物理的な面で難しいはずです。
とすると、ベンチプレスを行うならベンチプレスラックの周辺を、スクワットを行うならスクワットラックの周辺をうろちょろ歩くくらいが無難になるでしょう。
最後に
今回は「セット間休憩中に有酸素運動を行うとトレーニングの質が高まるって本当?」というタイトルで記事を書いてきましたがいかがだったでしょうか?
ちなみに、セット間休憩の仕方は何も有酸素運動だけではありません。
・筋トレのセット間休憩にストレッチを行うことで筋肉がより増加する?
・筋トレにおけるセット間休憩の過ごし方 拮抗筋をストレッチするという方法
次回作もご期待ください。
札幌市近郊にお住いの方は、
ぜひ フィットメソッド をご利用ください。