札幌市中央区東本願寺前駅にある、初心者向けスポーツジム フィットメソッドです。
「ベンチプレスで肩を痛めた」というトレーニーは多いのではないでしょうか?
今回は「【痛みの原因と対処法】ベンチプレスで肩を痛めたトレーニー必見!」というタイトルで記事を書いていきます。
目次
結論
2024年つい最近「ベンチプレスにおける肩の傷害リスク」についてを調べた研究が報告されました。
詳細を知りたい人は、ぜひ上のリンク先へとお進みいただきたいのですが、概要を簡潔に書くと、最低でも3年以上の歴がある経験者を対象に、バーベルを握る手幅を変えたり、肩甲骨の寄せ具合を変えたりと、合計21種類のバリエーションでベンチプレスを実施し、肩関節 (肩甲上腕関節・肩鎖関節等) に生じる圧縮力・剪断力 (せんだんりょく) を調べ、 肩の傷害リスクにどのような影響を及ぼすのかを調査しています。
本文中では、結構専門的な用語が飛び交うため難しいかもしれませんが、一番重要だと思われる結論の部分を抜粋、個人的なニュアンスで訳すと、
肩峰間隔 ( ≒ 肩幅) の1.5倍未満、比較的狭めな手幅でバーベルを握り、かつ肩甲骨をしっかり寄せることによって、肩関節に生じる圧縮力・剪断力が減少し、ベンチプレスにおける肩の傷害リスクを低減させる可能性が示唆された。
具体的には、肩峰間隔の1.5倍未満、比較的狭めな手幅でバーベルを握ることで、鎖骨遠位部に発生する圧縮力が低下し、鎖骨遠位端骨融解症のリスクを低減させたり、さらに肩甲骨をしっかり寄せることで、肩関節後方に発生する剪断力が低下し、肩関節後方不安定症・ローテーターカフ損傷のリスクを低減させる可能性がある。
⇧ こんな感じでしょうか。
つまり「バーベルを握る手幅が広かったり、肩甲骨が離れていると、ベンチプレスで肩を痛める危険性が高くなるよ」と言い換えることができます。
また、論文内では「バーベルに対して加える手の力の向き」についても言及されており、このような科学的知見、および個人的な指導経験も合わせると、
① バーベルを握る手幅は肩峰間隔の1.5倍未満に
② 肩甲骨は引き下げたうえで鉛筆を挟むように寄せる (寄せ続ける)
③ バーベルは気持ち強めに握り外方向 (両手を離す方向) に力を加えて動作を行う
④ バーベルは大胸筋の下部 (または乳頭とみぞおちの間あたり) に下ろす
⑤ バーベルを下ろした際の腕の角度 (脇の開き具合) は45度ほどを目安にする
以上5つの点を押さえれば、ベンチプレスで肩が痛くなることはほぼない、という印象です。
① バーベルを握る手幅は肩峰間隔の1.5倍未満に
ごく一般的なバーベルには、左右両サイドに切れ込みのようなラインが入っていますが、この間の長さは通常81㎝に定められています (違うものもあります) 。
もちろん、肩幅には個人差がありますが、バーベルに刻まれたそのラインよりも男性で2 〜 3㎝、女性で4 〜 5㎝程内側に小指がくるように握れば、手幅は肩峰間隔の1.5倍未満になるはずです。
② 肩甲骨は引き下げたうえで鉛筆を挟むように寄せる (寄せ続ける)
肩甲骨を寄せる際は「引き下げたうえで鉛筆を挟むように」がポイントです。
肩甲骨をシンプルに寄せようとすると「挙上」といって、怒り肩のようにすくんでしまう場面が多く見受けられます。
「肩甲骨を寄せているつもりが、実際はただ上がっているだけ」という場合があるわけです。
そのため、まずは肩の力を抜いて落とし = 撫で肩を意識して、やや斜め下方向に肩甲骨を寄せるようなイメージを持ちましょう。
③ バーベルは気持ち強めに握り外方向 (両手を離す方向) に力を加えて動作を行う
おそらく、大多数の人は「真上にバーベルを押し出す」という意識のもと、動作を繰り返しているかと思うのですが、それにプラスして、バーベルを外側に引きちぎるような力を少しばかり込めてみてください。
こうすることで、先ほどの ② を上手くキープすることに繋がります。
もっとも、その際は気持ち強めにバーベルを握り、手幅が広くずれてしまうのを防ぎましょう。
④ バーベルは大胸筋の下部 (または乳頭とみぞおちの間あたり) に下ろす
これはそのままで、大胸筋の下部、または乳頭とみぞおちの間あたりにバーベルを下ろします。
大胸筋の上部や鎖骨付近、つまりアゴに近い位置にバーベルを下ろすと、肩関節周辺組織に過剰なストレッチが発生し、肩の傷害リスクを増大させる可能性があります。
⑤ バーベルを下ろした際の腕の角度 (脇の開き具合) は45度ほどを目安にする
④ と密接に関係しているのですが、大胸筋の下部、または乳頭とみぞおちの間あたりにバーベルを下ろしたときは、大胸筋の上部や鎖骨付近、つまりアゴに近い位置にバーベルを下ろしたときよりも、それに伴って腕の角度 (脇の開き具合) が小さくなります。
腕の角度が大きくなるほど (脇が開けば開くほど) 、④ の達成は困難です。
まとめ
① バーベルを握る手幅は肩峰間隔の1.5倍未満に
② 肩甲骨は引き下げたうえで鉛筆を挟むように寄せる (寄せ続ける)
③ バーベルは気持ち強めに握り外方向 (両手を離す方向) に力を加えて動作を行う
④ バーベルは大胸筋の下部 (または乳頭とみぞおちの間あたり) に下ろす
⑤ バーベルを下ろした際の腕の角度 (脇の開き具合) は45度ほどを目安にする
以上5つの点を押さえれば、ベンチプレスで肩が痛くなることはほぼありません。
もし、それでもベンチプレスで肩が痛くなるのであれば、
・適切なフォームに修正できたが以前までの痛めた部位に響く
・フォーム云々では対処しにくい器質的な問題がある
・① 〜 ⑤ のいずれかが守れているようで守れていない
などが考えられます。
最後に
今回は「【痛みの原因と対処法】ベンチプレスで肩を痛めたトレーニー必見!」というタイトルで記事を書いてきましたがいかがだったでしょうか?
ちなみ、ここで触れた内容は全て「ベンチプレスにおける肩の傷害リスク」を前提にしており「より高重量を持ち上げる」とか「より大胸筋に効かせる」とか、そういった観点ではお伝えしていません。
「ベンチプレスでより高重量を持ち上げる」「ベンチプレスでより大胸筋に効かせる」という目的では、また違ったフォームが推奨されます。
次回作もご期待ください。