札幌市中央区東本願寺前駅にある、初心者向けスポーツジム フィットメソッドです。
そのトレーニングで、関節が動く範囲は「可動域 (関節可動域) 」と呼ばれており、スクワットを例に出すと、イラスト左寄りのスクワットは可動域が狭い (または小さい) 、イラスト右寄りのスクワットは可動域が広い (または大きい) 、と表現されたりします。
可動域の大小は、トレーニングの効果に影響を及ぼすことがわかっており、基本的には大きく取ることが理想です。
今回は「【トレーニング】関節可動域が筋肥大効果に及ぼす影響について」というタイトルで記事を書いていきます。
関節可動域は大きく取ることが基本
[ ① スクワットを対象にした研究 ]
Effects of squat training with different depths on lower limb muscle volumes
過去1年間に渡って、トレーニング経験のない男性を対象にスクワットを実施した。
浅くしゃがむグループ (可動域が小さい) と、深くしゃがむグループ (可動域が大きい) で、筋肉量の増加にどのような影響が及ぶのかを調べた。
結果は以下の通り。
浅くしゃがむ | 深くしゃがむ | |
大腿四頭筋 | + 4.6% | + 4.9% |
内転筋群 | + 2.7% | + 6.2% |
大臀筋 | + 2.2% | + 6.7% |
[ ② アームカールを対象にした研究 ]
Effect of range of motion on muscle strength and thickness
トレーニング経験のない男性を対象にアームカールを実施した。
腕を最後まで上げ下げしないグループ (可動域が小さい ) と、腕を最後まで上げ下げするグループ (可動域が大きい) で、筋肉量の増加にどのような影響が及ぶのかを調べた。
結果は以下の通り。
上げ下げしない | 上げ下げする | |
上腕二頭筋 | + 7.37% | + 9.52% |
ここでは、スクワットとアームカールを対象にした研究を2つ紹介しましたが、どちらも同じような結果が得られており、可動域を小さくした場合よりも大きくした場合の方が、筋肉量の増加が促進されました。
これら以外にも似たような研究は実施されているのですが、どうもそれらをトータルで見る限り、可動域が小さいよりかは大きい方が、筋肉量の増加において効果的な印象です。
また、この2つの研究で扱われた重量は、グループ間で異なっており、可動域が小さいグループの方でより重たくなっています。
言い方を変えると、可動域が大きいグループの方が軽い重量を扱った (しか扱えなかった) ということです。
にも関わらず、可動域を小さくした場合よりも大きくした場合の方で、筋肉量の増加が促進されているということを考えると、たとえ重さが軽くなったとしても、スクワットでは深くしゃがんだ方が、アームカールでは腕を最後まで上げ下げした方が良いでしょう。
重さが軽ければ、その分関節への負担は減少するので、怪我のリスク低下にも繋がるはずです。
このような理由から、基本的には可動域を大きく取るトレーニングが推奨されています。
関節可動域は大きく取ることが基本、、だけど
先ほど「可動域を大きく取るトレーニングが推奨されています」とお伝えしましたが、これはあくまでも「基本的には」に過ぎず、必ずしもそのようにする必要はありません。
例えばスクワットなんかで、可動域を「最大限」大きく取ろうとすると、お尻が踵に付くくらいまでしゃがむことになりますが、そうするとほぼ100%腰が丸まります。
腰の丸まりは、腰椎椎間板の内圧を増加させることがわかっており (1) 、つまり椎間板ヘルニア・慢性的腰痛、といった傷害を引き起こすリスクを高めます。
また、これについては別のブログで詳しくお話しする予定ですが、実は上腕三頭筋に関しては、むしろ「可動域を小さくした場合の方が大きくした場合よりも、筋肉量の増加が促進される」との報告がなされていたりします。
そのため、繰り返しになりますが、トレーニングでは必ずしも可動域を (最大限) 大きく取る必要はありません。
しかし、可動域を大きく取るメリットがあるのは確かに事実ですので、それを踏まえたうえで、臨機応変にトレーニングに臨んでいただけると幸いです。
最後に
今回は「【トレーニング】関節可動域が筋肥大効果に及ぼす影響について」というタイトルで記事を書いてきましたがいかがだったでしょうか?
次回作もご期待ください。
参考文献
(1) New in vivo measurements of pressures in the intervertebral disc in daily life