札幌市中央区東本願寺前駅にある、初心者向けスポーツジム フィットメソッドです。
以前「“トレーニングで息を止めるのは危険” は本当か? 筋トレと呼吸」というタイトルの記事を書きました。
「トレーニングで息を止めると、より血圧は上昇する。血管機能に何らかの疾患があった場合、トレーニングでは息をした方が安全だと思われる」的な内容です。
しかし、この「トレーニングで息を止めると、より血圧は上昇する」の「より」の部分に「大雑把な説明で終わってしまったな。いずれ別のブログで補完しないといけないな」的な気持ちがありました。
今回は「筋トレ中の呼吸について トレーニングでは息をしても血圧は上がる」というタイトルで記事を書いていきます。
トレーニングで息を止めるのはNG?
一般的に、トレーニングで息を止めるのはNGとされています。
トレーニングで息を止める ⇨ 血圧が上昇する ⇨ 血管系に負担が掛かる ⇨ 人体に多大な悪影響を及ぼす、という可能性が考えられるからです。
そのため、トレーニングでは息をすることが基本的に推奨されています。
しかし、ここで1つ注意していただきたいことがあるのですが、それは「トレーニングで息を止める ⇨ だから ⇨ 血圧が上昇する」というわけではない点です。
トレーニングを行った時点、厳密には「筋肉に負荷を加えた時点」で、呼吸の有無に関係なく、そもそも血圧は上昇します。
異なる呼吸パターンがトレーニングの血圧に及ぼす影響について
Effect of breathing techniques on blood pressure response to resistance exercise
研究内容をザックリ書き出します。
18 〜 36歳、平均安静時血圧 121 / 76 の健康な男性を対象に、レッグエクステンションとアームカール10回・3セットを、異なる呼吸パターンで行い、その際血圧にどのような影響が及ぶのかを調べた。
呼吸は、
① ググッと力を入れる時に息を吸う
② ググッと力を入れる時に息を吐く
③ ググッと力を入れる時に息を止める
以上の3パターンを用意した。
(単位はmmHg) | 息を吸う | 息を吐く | 息を止める |
レッグエクステンション | 151 / 99 | 159 / 102 | 166 / 108 |
アームカール | 148 / 101 | 156 / 105 | 166 / 112 |
全ての呼吸パターンで血圧は上昇したが「息を止める」で最も高く、「息を吸う」と「息を吐く」の間に有意差は確認されなかった。
この研究では、異なる呼吸パターンを3つ用意し、レッグエクステンションとアームカールで、血圧にどのような影響を及ぼすのかを調べています。
レッグエクステンションもアームカールも、スポーツジムでは頻繁に見られるエクササイズであり、かつ「10・回3セット」は、至って普通のメニューですので、おそらく皆様のトレーニングにも、このデータはほぼ当てはまることでしょう。
そして結果ですが、全ての呼吸パターンで血圧は上昇したものの、息を止めることで最も高くなったようです。
インターネットで「筋トレ中 呼吸」などと検索をかけると「トレーニングで息を止めるのは危険です!なぜなら血圧が上昇するから!」的な文章をよく目にします。
これに関しては、もちろん間違いではないものの「トレーニングでは息をしたら血圧は上昇しない」と錯覚させると言いますか、いささか不適切な表現であるかな〜、、という印象です。
トレーニングにおける血圧の上昇は、
・どのようなエクササイズを行うのか?
・扱う重さは?
・繰り返す回数は?
・こなすセット数は?
・どれくらいセット間休憩を取るのか?
によっても変わるとの報告がなされており、つまり呼吸パターンは、数ある要因の中のたった1つに過ぎません。
A | B | |
エクササイズ | スクワット | リストカール |
重さ | 20回が限界の重さ | 50回が限界の重さ |
回数 | 15回 | 5回 |
セット数 | 5セット | 2セット |
セット間休憩 | 30秒 | 5分 |
呼吸 | 有り | 無し |
仮に、こんなトレーニングメニューがあったとすると、まず100% A の方が B よりも血圧は上昇します。
冒頭で「血管機能に何らかの疾患があった場合、トレーニングでは息をした方が安全だと思われる」とお伝えしましたが、これは確かにその通りです。
しかし、呼吸の有無に気をつけるだけでは正直不十分で、血管機能に何らかの疾患があるのであれば、息を止めるかするかのみでなく、血圧の上昇に関わる要因全てに注意を払い、そのうえでトレーニングを行う必要があります。
最後に
今回は「筋トレ中の呼吸について トレーニングでは息をしても血圧は上がる」というタイトルで記事を書いてきましたがいかがだったでしょうか?
・トレーニングを行った時点で、そもそも血圧は上昇する。
・トレーニングで息を止めると、より血圧は上昇する。
次回作もご期待ください。