札幌市中央区東本願寺前駅にある、初心者向けスポーツジム フィットメソッドです。
私たちヒトの筋肉は、その特性から「遅筋」と「速筋」に分類されます。
読み方は「ちきん」と「そっきん」です。
遅筋は「タイプⅠ線維」「赤筋」とも呼ばれており、収縮のスピードが遅く大きな力発揮には向いていませんが、疲労しにくく持久力に優れ、速筋は「タイプⅡ線維」「白筋」とも呼ばれており、疲労しやすく持久力には向いていませんが、収縮のスピードが速く大きな力発揮に優れています。
このような特性があってか「遅筋を肥大させるには低重量・高回数が、速筋を肥大させるには高重量・低回数が望ましいのではないか?」と考えられることが多く「遅筋線維が優位な部位は低重量・高回数で、速筋線維が優位な部位は高重量・低回数でのトレーニングが効果的」とされていたりするのですが、これ、本当でしょうか?
今回は「鍛え方が違う? 遅筋は低重量 速筋は高重量が効果的は本当か?」というタイトルで記事を書いていきます。
結論 & 理由
最初に結論からお伝えしますが、今現時点では、遅筋線維が優位な部位は低重量・高回数で、速筋線維が優位な部位は高重量・低回数でのトレーニングが効果的、とは言えません。
理由を説明します。
Do the anatomical and physiological properties of a muscle determine its adaptive response to different loading protocols?
研究内容をザックリ書き出します。
過去半年に渡って、トレーニング経験のない男性を対象に、片脚は低重量・高回数 (20 〜 30回) 、もう片脚は高重量・低回数 (6 〜 10回) の条件で、立位および座位でのカーフレイズを、4セット・限界まで・週2回、計8週間実施した。
トレーニング前後で、下腿三頭筋 (ヒラメ筋・腓腹筋内側頭・腓腹筋外側頭) の筋厚を測定した。
低重量・高回数 | 高重量・低回数 | |
ヒラメ筋 (㎜) | + 1.5 ± 1.3 | + 1.3 ± 1.4 |
腓腹筋内側頭 (㎜) | + 1.8 ± 1.6 | + 1.5 ± 1.3 |
腓腹筋外側頭 (㎜) | + 2.1 ± 1.4 | + 2.3 ± 2.2 |
「低重量・高回数」と「高重量・低回数」で、ヒラメ筋・腓腹筋内側頭・腓腹筋外側頭の筋厚は同様に増加した。
ヒラメ筋・腓腹筋内側頭と比較し、腓腹筋外側頭で筋厚はより増加した。
この研究では、立位および座位でのカーフレイズを実施し、ヒラメ筋・腓腹筋内側頭・腓腹筋外側頭の筋厚が、どのように変化するのかを調べています。
負荷と回数は、右脚と左脚で分けられ、例えば右脚を低重量・高回数で行ったのであれば、左脚は高重量・低回数で行うという流れです。
ちなみに「カーフレイズ」は、ふくらはぎをピンポイントで鍛える種目、ヒラメ筋・腓腹筋内側頭・腓腹筋外側頭は、そのふくらはぎにある3つの筋肉を指します。
ヒラメ筋は、遅筋線維と速筋線維の割合が「8:2」くらい、腓腹筋は「5:5」くらいであるとの報告が以前になされており、遅筋を肥大させるには低重量・高回数が、速筋を肥大させるには高重量・低回数が望ましいのであれば、負荷と回数を分けた右脚と左脚で、その程度は異なるはずです。
また、遅筋線維よりも速筋線維の方が、有意に肥大しやすいとの報告も以前になされているため、ヒラメ筋は低重量・高回数の方で、腓腹筋は高重量・低回数の方で、筋厚の増加が著しくなると推測できます。
しかし、結果は先述した通りで、右脚も左脚も、ヒラメ筋・腓腹筋内側頭・腓腹筋外側頭の筋厚は同様に増加しました。
そして、ヒラメ筋・腓腹筋内側頭と比較し、腓腹筋外側頭で筋厚はより増加しましたが、これは遅筋線維よりも速筋線維の方が、多く含まれていることが原因の1つでしょう。
表にすると、こんな感じです。
ヒラメ筋 | 腓腹筋内側頭 | 腓腹筋外側頭 | |
遅筋 | 多い | 半々 | 若干少ない |
速筋 | 少い | 半々 | 若干多い |
そのため、遅筋線維が優位な部位は低重量・高回数で、速筋線維が優位な部位は高重量・低回数でのトレーニングが効果的、とは言えないのではないかと思います。
最後に
今回は「鍛え方が違う? 遅筋は低重量 速筋は高重量が効果的は本当か?」というタイトルで記事を書いてきましたがいかがだったでしょうか?
遅筋線維と速筋線維で、肥大の程度は変わるものの、どうもこの研究を見る限りでは、線維タイプごとに適した負荷や回数はなさそうな気がします。
それよりも「しっかりと追い込む」ことが重要になりそうです。
次回作もご期待ください。