札幌市中央区東本願寺前駅にある、初心者向けスポーツジム フィットメソッドです。
POF法は、ポジション・オブ・フレクション、の頭文字を取ったもので「最も負荷のかかるポジションが異なるエクササイズを取り入れることで、さらなる筋力の向上や筋肉量の増加を狙うトレーニングテクニック」として知られています。
今回は「【筋トレ】POF ポジション・オブ・フレクション法について」というタイトルで記事を書いていきます。
アームカール 上腕二頭筋の例
まずは、上のイラストをご覧いただきたいのですが、これらは左から順に、インクラインカール・ケーブルカール・バーベルカール、と呼ばれており、主に上腕二頭筋 (力こぶ) を鍛えることができます。
3つとも、肘関節の屈曲 (肘を曲げる) 際に負荷が生じるエクササイズです。
しかし、インクラインカールは「やや仰向けに寝、身体の後方に肘を位置させた状態で行う」ケーブルカールは「直立し、斜め上方向から手を頬に近づけるように行う」バーベルカールは「直立し、身体の真横 or やや前方に肘を位置させた状態で行う」という特徴があり、最も負荷のかかるポジションが異なります。
インクラインカールは、その姿勢の関係上、上腕二頭筋がビキビキッと伸ばされたところからスタートするため、あまり縮むことはありません。
仮に、上腕二頭筋が伸びている状態を「10」縮んでいる状態を「0」とするのであれば「10 〜 4」の範囲で動作が行われ「8」くらいで最大の負荷がかかるイメージです。
一方、ケーブルカールは逆で、上腕二頭筋があまり伸ばされていないところからのスタートになるのですが、その分ギューッと縮みます。
イメージとしては「6 〜 0」の範囲で動作が行われ「2」くらいで最大の負荷がかかる感じです。
そして、バーベルカールは、それらの中間「8 〜 2」の範囲で動作が行われ「5」くらいで最大の負荷がかかるといったところでしょうか。
つまり、これら3つは、肘関節を屈曲させ、主に上腕二頭筋を鍛えることができるという点は共通しているものの、最も負荷のかかるポジションが異なるエクササイズ、もっと厳密に言うと「最も負荷のかかる筋長や関節角度が異なるエクササイズ」であるということです。
インクラインカールのように、筋肉が伸ばされたところで大きな負荷が生じる種目は「ストレッチ種目」ケーブルカールのように、筋肉が縮んだところで大きな負荷が生じる種目は「コントラクト種目」バーベルカールのように、その中間で大きな負荷が生じる種目は「ミッドレンジ種目」と呼ばれており、こんな感じで、複数のアプローチから刺激を与えることで、筋力の向上や筋肉量の増加がさらに促進されると考えられているのが、POF法になります。
POF法と関節角度特異性
POF法は、これまで多くのトレーニー達に取り入れられてきたトレーニングテクニックであり、私も実践していた時期がありますが、なぜ筋力の向上や筋肉量の増加がさらに促進されると考えられているのかというと、理由の1つとして「関節角度特異性」という現象が挙げられます。
関節角度特異性とは、簡単に言うと「ある関節角度でトレーニングを行った時、その関節角度周辺で筋力が向上する」というものです。
例えば (1) では、深いスクワットを行うグループと、浅いスクワットを行うグループに分け、10週間のトレーニングを実施し、深いスクワット、および浅いスクワットの最大挙上重量がどのように変化するのかを調べています。
増加率は以下の通りです。
深いグループ | 浅いグループ | |
深いスクワット | 31.8 ± 14.9% | 11.3 ± 8.6% |
浅いスクワット | 24.2 ± 7.1% | 32.0 ± 12.1% |
深いスクワットの最大挙上重量増加率は、深いスクワットを行ったグループで有意に高く、浅いスクワットの最大挙上重量増加率は、有意差は見られなかったものの、浅いスクワットを行ったグループで高い傾向があったようです。
もっとも、この関節角度特異性に関する研究は、これまでいくつも行われているのですが「特異性は、筋束長 (筋長) に誘因されるものであって、関節角度ではないのでは?」との考え方がなされていたり、そもそも一致した見解も得られていないため、本当にあるのかないのか、はっきりしたことはわかりません。
しかし、関節角度特異性は、事実いくつかの研究にて確認されており、とすると、最も負荷のかかる筋長や関節角度が異なるエクササイズを取り入れることで、可動域全体で筋力の向上が起こり、重たい重量を扱え、結果筋肉量の増加にも繋がるであろうと考察されています。
POF法の有効性
では、POF法の有効性はどうなのかというと、残念なことに、私が知る限り研究は行われていなく、断言できないのが現状です。
しかし、筋力の向上や筋肉量の増加が促進される可能性があることに加え、ストレッチ種目・コントラクト種目・ミッドレンジ種目と、いくつかのバリエーションをメニューに組み込むことで、多角的にその対象部位を鍛えることができるかもしれません。
(2) では、スワットのみを行うグループと、スクワットやレッグプレスなど数種類のエクササイズを行うグループに分け、12週間のトレーニングを実施し、大腿四頭筋がどのように変化するのかを調べています。
結果、両グループで大腿四頭筋は増加しましたが、スワットのみを行うグループに比べて、スクワットやレッグプレスなど数種類のエクササイズを行うグループの方で、より多角的な肥大が確認されました。
これについては「【トレーニング】 種目数が多すぎるとダメ? 筋トレは何種目やるべき?」で詳しく説明していますので、ご一読ください。
そのため、さらなる筋力の向上や筋肉量の増加を望まれているのであれば、POF法にチャレンジしても面白いかと思います。
最後に
今回は「【筋トレ】POF ポジション・オブ・フレクション法について」というタイトルで記事を書いてきましたがいかがだったでしょうか?
最後に1つお伝えしておきたいことがあるのですが、POF法をメニューに組み込むことで、逆に筋力の向上や筋肉量の増加が低減してしまうことも考えられます。
もちろん、あくまで可能性の話です。
例えば、今現在ストレッチ種目を6セットメニューに組み込んでおり、それこそが筋力の向上や筋肉量の増加にベストで、でもコントラクト・ミッドレンジ種目を2セット分づつ代替として取り入れたことで、効果が下がってしまった、、、みたいな感じです。
しかし、こういったトレーニングテクニックの類は、効果うんぬんではなく、広く運動を楽しむきっかけになったり、モチベーションの維持に役立ったりと、何かしらの良い影響があるかと思いますので、継続をするかどうかはさておき、是非一度は経験として挑戦していただくことをオススメしています。
次回作もご期待ください。
参考文献
(1) Effects of squat training with different depths on lower limb muscle volumes
(2) Changes in exercises are more effective than in loading schemes to improve muscle strength