札幌市中央区東本願寺前駅にある、初心者向けスポーツジム フィットメソッドです。
トレーニングの効果は、回数・セット数・セット間インターバル・頻度など、様々な要素の組み合わせによって決定されますが、その中でも最も重要なものに「重量 (重さ) 」があります。
今回は「筋トレに高重量は必要ない? 筋力を向上させるには重い重さが効果的」というタイトルで記事を書いていきます。
重量の分類について
本題に入る前に、まずは重量の分類について確認をしていきましょう。
一般的に、トレーニングで扱う重量は、その重さから大きく3つに分けられます。
重量 (%) | 最大反復回数 | 重量の分類 | 回数の分類 |
100 | 1 | 高重量 | 低回数 |
95 | 2 | ||
90 | 4 | ||
85 | 6 | ||
80 | 8 | 中重量 | 中回数 |
75 | 10 | ||
70 | 12 | ||
65 | 15 | ||
60 | 18 | 低重量 | 高回数 |
例えば、最大で50㎏持てる方がいたとして、その人が40㎏でトレーニングを行った場合、80%の重量に相当することになるため、予想される最大反復回数は8回となり、分類としては中重量・中回数と判断されます。
筋トレに高重量は必要ない?
重量の分類についてを確認できたところで、ここから本題に入りますが、結論からお伝えしますと、高重量を扱わなくとも、筋力の向上・筋肉量の増加といった、トレーニングの効果を得ることは十分に可能です。
しかし、目安としては半年ほど、ある程度トレーニングに慣れてきたら、高重量もメニューに取り入れることをオススメしています。
高重量は筋力を向上させるのに効果的
Differential Effects of Heavy versus Moderate Loads on Measures of Strength and Hypertrophy in Resistance-Trained Men
研究内容をざっくり紹介します。
トレーニング経験のある方達を対象に、彼らを「高重量・2 〜 4回グループ」と「中重量・8 〜 12回グループ」に分け、スクワット・ベンチプレス・ラットプルダウン・ショルダープレスなど、基本的なエクササイズを7種目実施した。
トレーニングは、週に3回の頻度で合計8週間行われ、研究前後で、スクワットとベンチプレスの最大挙上重量・大腿四頭筋の厚みなどを測定した。
高重量 | 中重量 | |
スクワット (㎏) | 114.5 (30.8) ⇨ 148.9 (27.7) | 119.5 (26.0) ⇨ 139.4 (27.2) |
ベンチプレス (㎏) | 92.7 (19.3) ⇨ 106.1 (18.9) | 95.5 (23.8) ⇨ 105.5 (26.3) |
大腿四頭筋 (㎜) | 56.5 (5.8) ⇨ 58.8 (7.1) | 56.0 (4.7) ⇨ 61.8 (4.7) |
結果、両グループで、スクワットとベンチプレスの最大挙上重量・大腿四頭筋の厚みは増加した。
スクワットの最大挙上重量は高重量グループで、大腿四頭筋の厚みは中重量グループで、その増加率は有意に大きかった。
「高重量 vs. 中重量」および「中重量 vs. 低重量」における、トレーニングの効果を調べた研究は、これ以外にもいくつか行われており (1) (2) 、それらをまとめると、筋力の向上については「低重量よりも中重量の方が、中重量よりも高重量の方が効果的」という報告がなされています。
トレーニングで扱う重量が増えると、より大きな負荷へ対抗するために神経系が強化され、いわゆる「火事場の馬鹿力」が出しやすくなるからでしょう。
一方、筋肉量の増加に関しては、扱う重量うんぬんよりも、トレーニングボリュームが重要になる印象を受けます。
トレーニングボリュームは「重量 × 回数 × セット数」のことで、例えば、
① 90㎏・3回・7セット = 1890
② 77.5㎏・8回・3セット = 1860
③ 77.5㎏・8回・5セット = 3100
こんな感じの3パターンがあったとすると、①と②は筋肉量の増加が同等、③は①と②よりも筋肉量の増加が大きい、とお考えください。
簡潔にまとめると、
・トレーニングボリュームが同等なら、筋肉量の増加も同等 (同じくらい筋肉がつく) 。
・トレーニングボリュームが大きいと、筋肉量の増加も大きい (より多くの筋肉がつく) 。
こうなります。
ということを踏まえると、タイミングを見て、高重量を扱ったトレーニングにも取り組んだ方が良いでしょう。
高重量を扱ったトレーニングでは、筋力の向上が効果的に起きるため、結果としてボリュームの増大につながり、筋肉量の増加にも良い影響が及ぶはずです。
最大挙上重量が100㎏だと、80%の重さでは80㎏となり、これで8回繰り返した場合は「80 × 8 = 640」がトレーニングボリュームになりますが、もし120㎏まで上がれば、80%の重さでは96㎏となり、これで8回繰り返した場合は「90 × 8 = 768」と「128」も増えます。
このような理由から、目安としては半年ほど、ある程度トレーニングに慣れてきたら、高重量も取り入れることをオススメしているわけです。
最後に
今回は「筋トレに高重量は必要ない? 筋力を向上させるには重い重さが効果的」というタイトルで記事を書いてきましたがいかがだったでしょうか?
もっとも、トレーニング経験の浅い、おおよそ半年未満の初心者の方に関しては、高重量を取り入れる必要性はあまり感じません (取り入れちゃダメ、というわけでは全くありません) 。
高重量を扱ったトレーニングでは「スクワットで膝が過剰に前へ出る」とか「ベンチプレスで腰やお尻が過剰に浮く」とか、フォームが乱れやすくなり、怪我に繋がる危険性が考えられるためです。
個人的な経験論になりますが、トレーニング歴が半年くらいを超えると、高重量を取り入れても、大きくフォームは乱れないかな、という印象があります。
そのため、トレーニング初心者の方は、まずは適切なフォームの習得に専念し、頃合いを見計らって、高重量にも挑戦していきましょう。
次回作もご期待ください。
参考文献
(1) Effects of different volume-equated resistance training loading strategies on muscular adaptations in well-trained men
(2) Effects of Low- vs. High-Load Resistance Training on Muscle Strength and Hypertrophy in Well-Trained