札幌市中央区東本願寺前駅にある、初心者向けスポーツジム フィットメソッドです。
特に男性から絶大な人気を誇るベンチプレスは、スミスマシン、フリーウエイト、どちらでも行うことができます。
スミスマシンにしろフリーウエイトにしろ、同じベンチプレスである以上は、多少使い勝手が変われど、大胸筋・三角筋前部・上腕三頭筋といった、上半身の筋肉を同レベルで鍛えることが可能です。
しかし、この2つのベンチプレス、どちらの方がより高重量を持つことができるのでしょうか?
今回は「ベンチプレス スミスマシンとフリーウエイトにおける重量の違いについて」というタイトルで記事を書いていきます。
※ スミスマシン、およびフリーウエイトのベンチプレス動画を下に添付しておきますので、一度ご確認ください。
結論
最初に結論からお伝えしますと、ベンチプレスで高重量を持つことができるのは、意外かもしれませんが、スミスマシンではなくフリーウエイトになります。
(1) では、男女計32人に対して、スミスマシンとフリーウエイトでベンチプレスを実施してもらい、その際の1RM (最大挙上重量) が測定されました。
スミスマシン | フリーウエイト | |
男性 | 100.6 ± 17.6 kg | 112.9 ± 18.8 kg |
女性 | 34.2 ± 8.3 kg | 43.7 ± 9.2 kg |
男女トータル | 67.4 ± 36.3 kg | 78.3 ± 38.0 kg |
上の通り、スミスマシンよりもフリーウエイトでベンチプレスの挙上重量は大きくなっています。
では、なぜこのような結果になったのでしょうか?
理由として考えられるのは、
・経験歴:スミスマシンに慣れているか? それともフリーウエイトに慣れているか?
・摩擦:スミスマシンはレールを滑走するためバーベルとの間に抵抗が生じるが、フリーウエイトではそれが起きない。
などが挙げられるのですが、最も重要な要因は「バーベルの軌道」とされています。
スミスマシンよりもフリーウエイトの方がベンチプレスで高重量を持つことができる理由
① バーベルを下ろす位置
まず、ベンチプレスで高重量を持つためには「できるだけ高い位置にバーベルを下ろす」必要があります。
結局のところベンチプレスは、下ろしたバーベルを挙上する種目ですので、その移動距離が短いに越したことはありません。
例えば、階段ダッシュで「10階から5階に降りて10階に戻ってくる」のと「10階から1階に降りて10階に戻ってくる」のでは、当然前者の方がエネルギーを使わずに済むでしょう。
そのため、ベンチプレスで高重量を持つためには、上のイラストだと黒丸ではなく赤丸にバーベルを下ろすことがポイントになります。
② バーベルの軌道
ここらが本題なのですが、もちろんスミスマシンでもフリーウエイトでも、先ほどのイラストの黒丸ではなく赤丸にバーベルを下ろすことは可能です。
しかし、いざバーベルを挙上する際は、その軌道が異なります。
厳密に言うと、バーベルの挙上軌道を「異ならせる」ことができます。
スミスマシンは、基本的にバーベルの軌道が垂直に固定されているため、黒矢印の方向、真っ直ぐ真上にしか挙上できません。
一方、フリーウエイトは、バーベルの軌道が固定されていないため、赤矢印の方向、斜め上に挙上することができます。
これが、スミスマシンよりもフリーウエイトの方がベンチプレスで高重量を持つことができる理由です。
③ モーメントアーム
スミスマシンは、先述した通りバーベルの軌道が垂直に固定されている関係で、ベンチプレスの際、支点となる肩関節の垂直軸から、一定の距離が離れたところで挙上動作を行うことになります。
この距離は「モーメントアーム」と呼ばれており、長くなればなるほど負荷が強くなるメカニズムです。
一方、フリーウエイトは、バーベルの軌道が固定されていない関係で、ベンチプレスの際、支点となる肩関節の垂直軸に対して、距離を縮めながら挙上動作を行うことができます。
モーメントアームを短くすることで、負荷を弱めることが可能です。
下の画像は、世界レベルのパワーリフター (competitive) と、トレーニング初心者 (novice) のベンチプレス時における、バーベルの挙上軌道を表したものですが、
出典:Kinematic factors influencing performance and injury risk in the bench press exercise
パワーリフターは初心者と比較し、すぐにバーベルを肩関節側へと移動させているのがお分かりになるかと思います。
つまり、モーメントアームを短くしている = より小さい力で高重量を持つことができる位置にバーベルを移動させているわけです。
④ まとめ
少し説明が長くなりましたが、
・ベンチプレスで高重量を持つためには、できるだけ高い位置にバーベルを下ろす必要がある。
・スミスマシンでもフリーウエイトでも、できるだけ高い位置にバーベルを下ろすことは可能。
・しかし、スミスマシンとフリーウエイトでは、バーベルの挙上軌道が異なる。
・スミスマシンは、バーベルを真っ直ぐ真上にしか挙上できない。
・フリーウエイトは、バーベルを斜め上に挙上することができる。
・結果、スミスマシよりもフリーウエイトの方がモーメントアーム的に有利になり、ベンチプレスで高重量を持つことができる。
となります。
最後に
今回は「ベンチプレス スミスマシンとフリーウエイトにおける重量の違いについて」というタイトルで記事を書いてきましたがいかがだったでしょうか?
次回作もご期待ください。
参考文献
(1) Comparison of muscle force production using the Smith machine and free weights for bench press and squat exercises