札幌市中央区東本願寺前駅にある、初心者向けスポーツジム フィットメソッドです。
トレーニングの効果を決める変数の1つに「セット数」がありますが、インターネットを眺めていると「特に初心者の場合、筋肉をつけるためには1セットで十分」といった内容の記事を見かける時があります。
これ、本当なのでしょうか?
今回は「筋肉をつけるためには1セットで十分って本当?筋トレのセット数について」というタイトルで記事を書いていきます。
結論
最初に結論からお伝えしますと「筋肉をつけるためには1セットで十分か?」この問いにお答えするのは、なかなか難しくなっています。
と言うのは、種目 (種目数) ・重さ・回数・頻度など、セット数以外の変数も重なり合って、トレーニングの効果は決まるからです。
極端な例になってしまいますが、
パターン① | パターン② | |
種目 (種目数) | スクワット レッグプレス ランジ デッドリフト 各種目につき1セット | スクワットだけ 1セット |
重さ | ギリギリ10回できるくらいの重さ | ギリギリ20回できるくらいの重さ |
回数 | 10回 | 5回 |
頻度 | 週に3回 | 週に1回 |
こんな2パターンがあった場合、パターン①では、十分な筋肉量の増加が期待できるかと思います。
もっとも、何をもって「十分」とするかは人それぞれで違うかと思いますが、2 〜 3ヶ月もあれば、明らかな身体の変化を感じられることでしょう。
一方、パターン②では、刺激があまりにも小さすぎて、おそらく1年かかっても筋肉量は増加しない気がします。
このように、種目 (種目数) ・重さ・回数・頻度など、セット数以外の変数も重なり合って、トレーニングの効果は決まるため「1セット」という条件のみで、筋肉がつくかどうかを判断するのが困難なのです。
とは言えど、これまでに報告された科学的知見や、個人的な経験論も加味すると、少なくともトレーニングの経験が浅い方に関しては「1種目 (1部位) につき、ギリギリ10回できるくらいの重さで10回、週あたり3セット」というメニューを最低ラインとして取り組んでもらえれば、徐々に筋肉量の増加を感じ、2 〜 3ヶ月後には、身体の変化を感じられるかと思います。
1種目 (1部位) につき、ギリギリ10回できるくらいの重さで10回、週あたり3セット
まず、変数の違いが、トレーニングの効果にどのような影響を及ぼすのかを調べた研究は、これまでいくつも行われています。
例えば (1) では、トレーニング未経験者を対象に「2セット・週あたり3回の頻度グループ」と「6セット・週あたり1回の頻度グループ」の2つに分け、11週間に渡って、レッグエクステンションを実施してもらい、大腿四頭筋の厚みの変化を測定しています。
結果、両グループで増加が認められましたが、グループ間で有意差は確認されませんでした。
つまり、どちらのグループも「太もも前の筋肉が同じくらいついたよ」ということです。
この研究では「1回のセッションにおけるセット数」および「頻度」に違いがありますが「週あたりのセット数」でみると、どちらのグループも、6セットに統一されているのがわかるかと思います。
こういった研究は、トレーニング経験者を対象にも行われており (2) 、どうもそれらをみる限り「セット数は週あたりで考える」ことが重要になりそうな印象です。
また (3) でも、トレーニング未経験者を対象に、週2 〜 3回の頻度で「3セット・9 〜 11回の反復グループ」と「2セット・20 〜 28回の反復グループ」に分け、8週間に渡って、レッグプレス・スクワット・レッグエクステンションを実施してもらい、大腿四頭筋の厚みの変化を測定しています。
※ 他のグループもあったり、グループ毎でセット間休憩時間も異なったりしているのですが、ここでは説明をわかりやすくするため省略しています。
結果「3セット・9 〜 11回の反復グループ」では増加が認められましたが、「2セット・20 〜 28回の反復グループ」では有意な変化が確認されませんでした。
こんな感じで、変数の違いが、トレーニングの効果にどのような影響を及ぼすのかを調べた研究を読み込めば、もちろん断言はできませんが、筋肉をつけるための目安といいますか、ガイドライン的なものを作成することが可能です。
そうしてできたものが「少なくともトレーニングの経験が浅い方に関しては、1種目 (1部位) につき、ギリギリ10回できるくらいの重さで10回、週あたり3セット」になります。
最後に
今回は「筋肉をつけるためには1セットで十分って本当?筋トレのセット数について」というタイトルで記事を書いてきましたがいかがだったでしょうか?
ここで紹介したメニューが、必ずしも皆様に有効とは限りませんが、目安・ガイドラインとして参考にしていただければ幸いです。
次回作もご期待ください。
参考文献
(1) Higher Training Frequency Is Important for Gaining Muscular Strength Under Volume-Matched Training
(2) Training Volume, Not Frequency, Indicative of Maximal Strength Adaptations to Resistance Training
(3) Muscular adaptations in response to three different resistance-training regimens: specificity of repetition maximum training zones