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トレーニング

シーテッド vs. ライイングレッグカール 筋肥大効果はどっちが大きい?

札幌市中央区東本願寺前駅にある、初心者向けスポーツジム フィットメソッドです。

以前「筋トレで筋肉を効果的につけるポイントは “できるだけ伸ばす” こと?」というタイトルの記事を書きました。

その中で、シーテッドとライイングレッグカールにおける、ハムストリングス (ハム) の肥大効果を比較した研究を紹介したのですが、説明がザックリしすぎていた感がありましたので、今日はそちらを深掘りしようかと思います。

今回は「シーテッド vs. ライイングレッグカール 筋肥大効果はどっちが大きい?」というタイトルで記事を書いていきます。

シーテッド vs. ライイングレッグカール

Greater Hamstrings Muscle Hypertrophy but Similar Damage Protection after Training at Long versus Short Muscle Lengths

過去1年間に渡って、トレーニング経験のない成人を対象に、一方の脚はシーテッド、もう一方の脚はライイングレッグカールでトレーニングを実施した。

トレーニングは、各脚とも10回・5セット、48時間以上の間隔をあけ、週2回の頻度で12週間継続した。

トレーニング前後で、ハム全体・大腿二頭筋長頭・大腿二頭筋短頭・半腱様筋・半膜様筋・薄筋・縫工筋の筋量を測定した。

シーテッドライイング
ハム全体+14.1%+9.3%
大腿二頭筋長頭+14.4%+6.5%
大腿二頭筋短頭+9.5%+9.0%
半腱様筋+23.6%+19.3%
半膜様筋+8.2%+3.6%
薄筋+22.5%+21.0%
縫工筋+7.8%+11.8%

ハム全体・大腿二頭筋長頭・半腱様筋・半膜様筋は、シーテッドの方で、ライイングレッグカールよりも有意に増加した。

大腿二頭筋短頭・薄筋は、両脚で同等に増加し差は認められなかった。

縫工筋は、シーテッドよりも、ライイングレッグカールの方で有意に増加した。

個人的所感

「シーテッドとライイングレッグカール、ハムを鍛えるのに効果的なのはどっちか?」的な会話は、トレーナー・トレーニーの間でもしばしばなされており、とりあえず今回は、シーテッドに軍配が上がった感じになりました。

個人的には、ライイングレッグカールの方が好きなので、少し残念な気持ちではありますが、なぜこのような結果になったのかを考察していきます。

シーテッドとライイングレッグカールのやり方に関しては、以下の動画でご確認ください。

※ シーテッドは後半、ライイングレッグカールは前半に登場します。


シーテッドの方が、ライイングレッグカールよりも、ハムの肥大効果は大きくなりましたが、これはおそらく「筋肉の長さ」が関係しています。

まず、ハムは太もも裏にある筋肉の総称で、大腿二頭筋長頭・大腿二頭筋短頭・半腱様筋・半膜様筋の4つから構成されます。

4つとも「膝関節の屈曲」つまり「膝を曲げる」という動きに作用するのですが、大腿二頭筋長頭・半腱様筋・半膜様筋の3つは「股関節の伸展」にも働きます。

下のイラスト②が、股関節の伸展です。

※ ちなみに、先ほど紹介した研究では、薄筋・縫工筋にも触れていますが、この2つも膝関節の屈曲作用を有しています。

大腿二頭筋長頭・半腱様筋・半膜様筋の3つは、骨盤の骨の1つ坐骨結節に付着し、股関節・膝関節を跨いでスネへと、大腿二頭筋短頭だけは、太ももの骨である大腿骨に付着し、膝関節のみを跨いでスネへと走ります。

そのため、ハムの構造的な関係から、大腿二頭筋長頭・半腱様筋・半膜様筋の3つは「股関節の屈曲」つまり、上のイラスト①のように、脚を前に伸ばした状態で、より伸長されることになります。

大腿二頭筋に関しては、そもそも膝関節しか跨いでいないため、股関節を屈曲させようがしまいが、伸長度合いに変化はありません。

勘の良い方ならすでにお気づきかもしれませんが、シーテッドは股関節を屈曲させた状態からスタートするのに対し、ライイングレッグカールは屈曲させていない状態からのスタートです。

言い換えると、シーテッドは大腿二頭筋長頭・半腱様筋・半膜様筋の3つがビキッと伸ばされた状態からスタートするのに対し、ライイングレッグカールはそれら3つがあまり伸ばされていない状態からのスタートになります。

そして、ビキッと伸ばされた状態 =「強いストレッチがかかった状態でのトレーニング」は、筋肉をより肥大させるとの報告もなされています (1) 。

シーテッドの方が、ライイングレッグカールよりも、ハム全体・大腿二頭筋長頭・半腱様筋・半膜様筋の筋肉量が増えた理由は「筋肉が一層伸ばされていたから」と推測できそうです。

一方、大腿二頭筋短頭・薄筋の2つに関しては、シーテッドとライイングレッグカールで、同等の増加が確認されていますが、どちらのやり方でもその増加率が変わらなかったのは、股関節を屈曲させようがしまいが、筋肉のストレッチ度合いに差がなかったからだと言えるでしょう。

また、縫工筋に関しては、シーテッドよりも、ライイングレッグカールの方で、唯一有意な増加が確認されていました。

これは、大腿二頭筋長頭・半腱様筋・半膜様筋とは逆で、縫工筋は股関節の屈曲に働くため、シーテッドよりも、ライイングレッグカールの方で、筋肉が一層伸ばされることになり、このような結果が得られたものになるかと思われます。


1つの研究だけでは何とも言えないところではありますが、レッグカールを取り入れるのであれば、例えばそのマシンが凄くやりにくいとかの理由がない限り、シーテッドの方が良いかもしれません。

確かに「縫工筋をより鍛えることができる」というメリットがライイングにはありますが、そもそもレッグカールを取り入れる目的は「ハムを強化する」ことであるはずです。

縫工筋には、膝関節の屈曲だけでなく、先述した股関節の屈曲に加え、外転や外旋作用も認められています。

つまり、縫工筋は、レッグカールで鍛えなくとも、違うエクササイズで十分強化することが可能ということです。

最後に

今回は「シーテッド vs. ライイングレッグカール 筋肥大効果はどっちが大きい?」というタイトルで記事を書いてきましたがいかがだったでしょうか?

次回作もご期待ください。

 

参考文献

(1) Triceps surae muscle hypertrophy is greater after standing versus seated calf-raise training

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