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トレーニング

大胸筋上部の強化には角度をつけたインクラインベンチプレスが効果的?

札幌市中央区東本願寺前駅にある、初心者向けスポーツジム フィットメソッドです。

胸の筋肉 (大胸筋) を鍛えることのできるエクササイズの1つに「ベンチプレス」があります。

ベンチプレスは、特に男性から絶大な人気を博しており、私もつい先ほど追い込んだばかりです。

ベンチプレスは、ベンチ台の傾斜角から、

・頭の位置がお尻より高い:インクライン
・頭の位置がお尻と同じ:フラット
・頭の位置がお尻より低い:デクライン

の3つに分類することができるのですが、その中でもインクラインベンチプレスは、他の2つと比較して、大胸筋上部を鍛えるのに効果的とされています。

今回は「大胸筋上部の強化には角度をつけたインクラインベンチプレスが効果的?」というタイトルで記事を書いていきます。

結論

最初に結論からお伝えしますと、インクラインベンチプレスは、他の2つと比較して、大胸筋上部を鍛えるのに効果的である可能性はありますが、現状、はっきり「そうだ」と断言することはできません。

理由を解説していきます。

大胸筋上部の強化には角度をつけたインクラインベンチプレスが効果的とされている理由

まず、大胸筋は、上部 (鎖骨部)・中部 (胸肋部)・下部 (腹部) の3つに分けられ、全体としては、肩関節の内転・水平内転・内旋などの作用を有しています。

あまり良い例えでは無いかもしれませんが「ビンタをするように、外にある腕を内へと閉じる」そんな動作の時に働くのが大胸筋です。

そして、文献によって多少の違いが見られるのですが、大胸筋上部に関しては、肩関節の屈曲にも関与することが確認されています。

肩関節の屈曲は「バンザイをするように、下にある腕を上へと上げる」そんな動作です。

インクラインベンチプレスは、他の2つと比較して、頭の位置がお尻より高い関係で、バーベルを斜め上方に挙上する = 「肩関節の屈曲動作が要求される」ことになり、それが、大胸筋上部を鍛えるのに効果的とされている理由です。

インクラインベンチプレス vs. フラットベンチプレス

では、ここから本題に入りますが、4年前の2020年、インクラインベンチプレスと、フラットベンチプレスにおける、大胸筋へのトレーニング効果を調べた研究が行われました。

研究内容をザックリ書き出します (本内容と関係ない部分は省略しています)

Effects of Horizontal and Incline Bench Press on Neuromuscular Adaptations in Untrained Young Men

少なくとも過去半年に渡って、トレーニング経験のない男性を対象に「インクラインベンチプレスグループ」と「フラットベンチプレスグループ」の2つに分けた。

トレーニングは、8 〜 12回・4 〜 6セット、週1回の頻度で8週間実施した。

トレーニング前後で、大胸筋上部・中部・下部の厚み (㎜) がどのように変化するのかを測定した。

インクラインフラット
上部15.1 (3.8) ⇨ 24.5 (4.1)11.9 (2.0) ⇨ 15.7 (3.9)
中部15.4 (4.3) ⇨ 23.8 (5.7)13.2 (3.5) ⇨ 19.3 (5.0)
下部14.4 (4.2) ⇨ 22.8 (5.4)12.6 (2.7) ⇨ 18.0 (5.1)

両グループともに、大胸筋上部は肥大したが、インクラインベンチプレスグループの方で、フラットベンチプレスグループよりも、大きな増加が確認された。


傾斜角の異なるベンチプレスにおける、大胸筋の筋活動を調べた研究は、これまでも多々行われてきました (1) (2) (3) 。

しかし「実際にどうだったか?」を調べた研究は、私が知る限りこれ1本のみで、初めて目にした当初は、かなり読み込んだ記憶があります。

ただ、研究内容において、引っかかるというか気になる点が2つありまして、それが「スミスマシン」と「手幅」です。

完全に私の主観ですが、一般的にベンチプレスと言うと「フリーウエイトのベンチプレス」を指すことが圧倒的に多い、という印象があります。

が、この研究で採用されたのは、スミスマシンでした。

スミスマシンは、フリーウエイトと違い「バーベルの軌道が固定されている」という特徴があるため、仮に同じベンチプレスを行ったとしても、それらは全くの別物である、と認識しています。

よって、この研究結果を、一般的な (フリーウエイトの) ベンチプレスに当てはめることは難しいでしょう。

また、この研究では、インクラインベンチプレスの傾斜角については「44度」と記述されているものの、手幅に関しては、特に言及されていません。

手幅が変わると、ベンチプレスにおける、大胸筋の筋活動も変わるとの報告は他でなされていますので、この研究結果を、皆様が行っているインクラインベンチプレスに当てはめることは、これまた難しいでしょう。

少なくとも現段階でわかっているのは「トレーニング経験のない方で、インクラインベンチプレスを、44度の傾斜角に設定し、スミスマシンで行ったら、フラットベンチプレスよりも、大胸筋上部がより肥大した」というだけです。

このような理由から『インクラインベンチプレスは、他の2つと比較して、大胸筋上部を鍛えるのに効果的である可能性はありますが、現状、はっきり「そうだ」と断言することはできません』とお伝えした次第になります。

最後に

今回は「大胸筋上部の強化には角度をつけたインクラインベンチプレスが効果的?」というタイトルで記事を書いてきましたがいかがだったでしょうか?

このテーマに関しては、私自身もかなり興味がありますので、定期的にちょいちょい調べ、何か面白い情報を見つけましたら、すぐ発信・共有したいと思います。

次回作もご期待ください。

 

参考文献

(1) Effects of Variations of the Bench Press Exercise on the EMG Activity of Five Shoulder Muscles

(2) Influence of bench angle on upper extremity muscular activation during bench press exercise

(3) The Effects of Bench Press Variations in Competitive Athletes on Muscle Activity and Performance

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