札幌市中央区東本願寺前駅にある、初心者向けスポーツジム フィットメソッドです。
大円筋や広背筋など、背中の筋肉を鍛えることができる代表的な種目に「ラットプルダウン」があります。
ラットプルダウンは、バーを首の後ろに引く「ビハインドネック・ラットプルダウン」と、バーを首の前に引く「フロントネック・ラットプルダウン」に分けることができるのですが、効果や肩への負担には、一体どのような違いがあるのでしょうか?
今回は「【ラットプルダウン】首の後ろ?前?どっちにバーを引くべきか」というタイトルで記事を書いていきます。
※ 種目名が長いので、ここからはビハインドネック・ラットプルダウン → 「ビハインド」 フロントネック・ラットプルダウン → 「 フロント」 と表記して話を進めていきます。
結論
最初に結論からお伝えしますと、ラットプルダウンを行う場合は、何か特別な理由がない限り、ビハインドではなくフロントに取り組まれることをオススメしています。
効果
冒頭で説明した通り、そもそもラットプルダウンは、主に背中の筋肉を鍛えることができる種目です。
「背中の筋肉を鍛えるために取り入れられる種目」と言い換えても良いでしょう。
ラットプルダウンでは、ビハインドとフロントに関わらず、頭上にあるバーを首元へと引き寄せるわけですが、このとき私たちの腕には「内転」と呼ばれる動きが要求されます。
開いた脇を閉めるような動きが内転です。
この内転には、背中の筋肉である大円筋や広背筋がもちろん関与するのですが、意外にも一番働くのは、胸の筋肉である「大胸筋」とされています (1) 。
そのため、ラットプルダウンで頭上にあるバーを、垂直に下へと引き寄せる (つまり内転させる) と、大円筋や広背筋ではなく、大胸筋により大きな刺激が入ることになります。
一方、大円筋や広背筋が一番働くのは「伸展」と呼ばれる動きで、前にある腕を後ろに持ってくるときです。
勘の良い方ならすでにお気づきかもしれませんが、ビハインドではなくフロントをオススメしている理由はここにあります。
ビハインドでは、首の後ろにバーを引く = 上半身を直立させた状態で動作を行うことになるため、腕に要求される動きはほぼ内転のみとなり、大円筋や広背筋をメインで鍛えることができない可能性が考えられます。
しかしフロントでは、首の前にバーを引く = 上半身を後方に倒した状態で動作を行うことができるため、内転にプラスして腕には伸展の動きが要求され、大円筋や広背筋をメインで鍛えることが可能になるはずです。
実際、これは私の経験論ではありますが、ビハインドをやり込んだ日は大胸筋に筋肉痛がくるものの、フロントでやり込んだ日は大胸筋に一切筋肉痛がきません。
肩への負担
先ほど「大胸筋ではなく、大円筋や広背筋をメインで鍛えることが可能になるはず」との理由から、ビハインドではなくフロントをオススメしました。
しかし「ラットプルダウンで大胸筋がメインに効いたとしても、それはそれで良いんじゃない?大円筋や広背筋にも刺激が入るのは事実なんだから、むしろ一石二鳥じゃん。ビハインドの方がフロントよりもメリットがある気がする」と思われる人もいらっしゃることでしょう。
確かにその通りかもしれません。
ただ、そうすると1つ不安な点が出てきます。
それが「肩への負担」です。
上の写真は、ダンベルショルダープレスを行う男性を写したものですが、腕を横に上げて外側に捻った姿勢は「ハイファイブポジション」と呼ばれており、肩の傷害との関係性が確認されています (2) 。
具体的には、肩前部の不安定性・肩関節痛・脱臼および大胸筋の断裂などです。
ハイファイブポジションが要求される種目は、さっきお伝えしたダンベルショルダープレス以外にもいくつかあるのですが、その中の1つにビハインドが挙げられます。
つまり、ビハインドはフロントに比べて、肩の傷害リスクを高める危険性があるわけです。
ということを考えると、大胸筋は何か別の種目 (例えばベンチプレスとか) で鍛えるようにして、ラットプルダウンではフロントを選択した方が良い気がします。
最後に
今回は「【ラットプルダウン】首の後ろ?前?どっちにバーを引くべきか」というタイトルで記事を書いてきましたがいかがだったでしょうか?
もっとも、ここでは「効果」と「肩への負担」という観点からフロントをオススメしましたが、決してビハインドがダメというわけではありません。
状況に合わせて、臨機応変にいずれかのラットプルダウンを取り入れていただければと思います。
次回作もご期待ください。
参考文献
(1) 解剖学アトラス第6版
(2) Shoulder injuries attributed to resistance training: a brief review