札幌市中央区東本願寺前駅にある、初心者向けスポーツジム フィットメソッドです。
下半身の筋群を鍛える代表的な種目「スクワット」は、前ももの大腿四頭筋、内ももの内転筋群、お尻の大臀筋、そして裏もものハムストリングスに効果的とされています。
しかし、本当にスクワットはハムストリングスに効くのでしょうか?
今回は「効かない? スクワットでハムストリングスを鍛えることはできない?」というタイトルで記事を書いていきます。
ちなみに
全くもって余談なのですが、大腿四頭筋・内転筋群・大臀筋は日本語なのに対して、なぜかハムストリングス (hamstrings) だけは英語で呼ばれています。
裏ももには、大腿二頭筋 (長頭と短頭) ・半腱様筋・半膜様筋という3つの筋肉があるのですが、それらを総称する英語 (ハムストリングス) はあっても、日本語がないのです。
以上、余談でした。
スクワットでハムストリングスを鍛えることはできない?
さて、ここから本題に入りますが、まずスクワットが下半身の筋群にどのような影響を及ぼすのかを調べた研究は、これまでいくつも行われています。
どれも似たような結果が報告されているのですが、それらを精読し、かつ個人的な経験論も加味すると、
「スクワットでハムストリングスを鍛えることはできない」とは言わないが、ハムストリングスを鍛えるにあたって、スクワットは効果的な種目とは言えない。
スクワットでしっかり鍛えることができるのは、下半身の筋群だと大腿四頭筋・内転筋群・大臀筋の3つであり、ハムストリングスを鍛えたいのであれば、何か別の種目を取り入れる必要がある。
もちろん、フォームや可動域によっても大きく変わってはくるが、スクワットで得られる効果の程度を数値化し、大腿四頭筋・内転筋群・大臀筋を仮に「100」とするのであれば、ハムストリングスは「15」ほどになる印象。
こんな感じにまとめられるかな、といったところです。
なぜこのような見解になったのかを説明していきます。
(1) では、被験者をフルスクワットグループと、ハーフスクワットグループに分け、下半身の筋群がどのように変化するのかを調べています。
フルスクワットはしゃがみが深いスクワット、ハーフスクワットはしゃがみが浅いスクワットです。
上のグラフは、フルスクワットグループ (白) と、ハーフスクワットグループ (黒) における、各筋肉の増加率を表したもので、左上 Knee extensor が大腿四頭筋、左下 Adductor が内転筋群、右下 Gluteus maximus が大臀筋になっています。
大腿四頭筋・内転筋群・大臀筋は、両グループで増加しているのが確認できますが、注目したいのは右上 Hamstring ハムストリングスです。
ハムストリングスに関しては、両グループで有意な変化が確認されませんでした。
(2) でも、被験者をフルスクワットグループと、ハーフスクワットグループに分け、下半身の筋群がどのように変化するのかを調べています。
上のグラフは、フルスクワットグループ (黒) と、ハーフスクワットグループ (白) における、各筋肉の増加率を部位ごとに表したもので、左 Front of thigh が大腿四頭筋、右 Back of thigh がハムストリングスになっています。
大腿四頭筋は、フルスクワットグループで全部位が増加、ハーフスクワットグループで2部位が増加、一方ハムストリングスは、フルスクワットグループでの1部位のみしか有意な増加が確認されていません (★ ← このマークがついているところです) 。
これ以外の研究を調べても、大腿四頭筋・内転筋群・大臀筋の増加は確認されているのですが、スクワットでハムストリングスが、これら3つの筋肉と同等に肥大したとの報告を見つけることはできませんでした。
そのため、端的に言うのであれば「スクワットでハムストリングスを鍛えることは難しい」とまとめても、おそらく問題はないでしょう。
なぜスクワットでハムストリングスを鍛えることは難しいのか?
先ほど「スクワットでハムストリングスを鍛えることは難しい」とお伝えしましたが、ではなぜそうなるのかというと、これは筋肉の構造が関係していると推測できます。
説明がややこしくなるので、詳しいことはまた別の記事で書くとして、ここではザックリと終わらせますが、まず前提として、トレーニングの効果を得たいのであれば、基本的には、筋肉を「伸ばしたところからギュッと縮める」必要があるとお考えください。
ハムストリングスは、股関節と膝関節を跨ぐ「多関節筋 (二関節筋とも呼ばれます) 」に分類されており、股関節の伸展、および膝関節の屈曲作用を有しています。
つまり、前にある脚を後ろに蹴り出す際 (股関節の伸展) と、膝を曲げる際 (膝関節の屈曲) に働きます (= 縮まります) 。
上のイラストでは、左側②が股関節の伸展、右側が膝関節の屈曲です。
と、いうことを踏まえたうえで、ハムストリングスをチェックしていきましょう。
スクワットでしゃがんだ際、股関節は屈曲しているのでハムストリングスは一見伸びるように思えますが、一方で膝関節は屈曲しているため弛んでしまい、結果ほぼ伸びません。
基本的には、筋肉を伸ばしたところからギュッと縮めることで、トレーニングの効果を得ることができるわけですが、スクワットではハムストリングスが関節動作の関係上ほぼ伸びることがなく、よってあまり効かすことができないわけです。
最後に
今回は「効かない? スクワットでハムストリングスを鍛えることはできない?」というタイトルで記事を書いてきましたがいかがだったでしょうか?
次回作もご期待ください。
参考文献
(1) Effects of squat training with different depths on lower limb muscle volumes
(2) Effect of range of motion in heavy load squatting on muscle and tendon adaptations