札幌市中央区東本願寺前駅にある、初心者向けスポーツジム フィットメソッドです。
パーソナルトレーナーとして活動をしていると「スポーツの競技力を向上させるために筋トレは必要ですか?」といった質問を受ける時があります。
「やらない方が良い。筋トレでつけた筋肉はスポーツには使えない」というネガティブな意見もあれば「絶対にやった方が良い。筋トレで筋肉がつけばスポーツのレベルが上がる」というポジティブな意見も聞くため、どちらを信じれば良いのかわからなくなるかもしれません。
今回は「【トレーニング】スポーツ競技力向上のために筋トレを行う必要はあるのか?」というタイトルで記事を書いていきます。
少し長文です。
結論
結論からお伝えしますと、多少時間はかかりますが、ほぼ間違いなく筋トレでスポーツの競技力は向上します。
どんな種目かによっても変わってはくるのですが、大抵の場合、スポーツの競技力を向上させたいのであれば、筋トレをやるに越したことはありません。
スポーツの競技力を構成する要素について
皆様も飲食店に行かれることがあるかと思いますが、仮にそのお店を評価するとした時、下のように、おそらくいくつかの項目から採点をすることになるはずです。
味:☆☆☆☆
量:☆☆
価格:☆☆☆☆☆
接客:☆☆☆
営業時間:☆☆☆
支払方法:☆
総合点:☆☆☆
これは飲食店に限った話ではなく、例えばドラマだったり、電化製品だったり、会社の人事評価だったりにも当てはまることでしょう。
「先月から始まったドラマ、役者は好きなんだけどストーリーがなー」「この電子レンジ、デザインは可愛いんだけど機能がなー」「去年入った営業マン、口は達者なんだけど遅刻癖がなー」みたいな感じで。
言い方を変えると、最終的な評価は、それを構成する要素のトータルで下されるということです。
そして、スポーツの競技力にも同じことが言えます。
では、スポーツの競技力を構成する要素には何があるのかというと、技術・戦略・メンタル・コンディショニングなどが代表的なものとして挙げられます。
国民的なスポーツであるサッカーを例に取ると、
・技術:シュートやパス、ドリブル、トラップの上手さ
・戦略:「相手チームは〇〇に穴がある。だからそこを集中的に狙っていこう」的な作戦
・メンタル:心や気持ちの強さ
・コンディショニング:その日の体調や栄養状況
これらのトータルで競技力は決定されるわけです。
そのため、
要素 | チームA | チームB |
技術 | 5点 | 2点 |
戦略 | 1点 | 5点 |
メンタル | 5点 | 2点 |
コンディショニング | 1点 | 5点 |
トータル | 12点 | 14点 |
もともと持っているポテンシャルが高い、才能に溢れたチームAがあったとして、でも相手チームのことを見下し、不真面目に試合へと臨んだ場合は、結果弱くなります。
一方、才能があるとはお世辞にも言えず、かつ心理的にも脆いチームBがあったとして、でも相手チームのことを熱心に研究・対応策を考え、万全を期して試合へと臨んだ場合は、結果強くなります。
スポーツをされたことのある方なら、どちらのチームの立場かは分かりませんが、思い当たる節があるのではないでしょうか?
しかし、ここで忘れてはいけない、スポーツの競技力を構成する要素がもう1つあります。
それが「身体能力」です。
身体能力は「体力」とも表現される時があるのですが、例えば筋力だったり、筋の収縮速度だったり、それらを掛け合わせたパワーなんかが挙げられます。
難しい専門用語が出てきましたが「ジャンプ力」「疾走能力」「方向転換能力」などだと思っていただければ問題ありません。
・ジャンプ力:高く跳ぶ能力
・疾走能力:速く走る能力
・方向転換能力:切り返し能力 (反復横跳びてきな)
※ もっとも、高く跳ぶための「しゃがみ方」速く走るための「腕の振り方」切り返しの際の「身体の傾け方」といった技術も必要ではあります。
そして、これらの身体能力は、スポーツの競技力に多大な影響を与えます。
例えばサッカーでは、ヘディングで競り合う時はジャンプ力が高い方が有利ですし、こぼれたボールを奪い合う時は疾走能力が高い方が有利ですし、フェイントに対応する時には方向転換能力が高い方が有利です。
このように、スポーツの競技力は様々な要素によって構成されており、その中の1つに身体能力があるわけです。
身体能力を高める手段について
先ほど「スポーツの競技力は様々な要素によって構成されており、その中の1つに身体能力がある」とお伝えしました。
そのため、身体能力を高めれば高めるほど、スポーツの競技力もどんどん向上するはずです。
では、一体何をすれば身体能力を高めることができるのかというと、少なくとも最初のうちは、そのスポーツへの専念で大きな問題はないでしょう。
・バレーボールを始めたんだけど、高くジャンプできるようになった気がする。
・ラグビーを始めたんだけど、明らかに足が速くなってきた。
・バスケを始めたんだけど、反復横跳びの記録が上がった。
このような経験を、皆様もされたことがあるのではないでしょうか?
しかし、これらの変化は、バレーボールを「始めた」ラグビーを「始めた」バスケを「始めた」ゆえに起こり得たものです。
言い方を変えると「今までにはない、いつも以上に大きな刺激が入ったことで、その環境に合わせて身体が適応 (発達) したから」です。
そのため、 月日が経てば「今までにはない、いつも以上に大きな刺激」は「ごく日常的な刺激」へと変わってしまい、高くなってきた身体能力も徐々に停滞し始めます。
では、一体何をすればさらにもう一段階身体能力を高めることができるのかというと、それが「筋トレ」です。
筋トレでは、バーベルやダンベルなどの負荷を扱うため、そのスポーツでは見込めない、適切で大きな刺激を身体に入れることができます。
また、段階的に扱う負荷を増やすことができるため、適応したら負荷を増加 → 適応したら負荷を増加 → 適応したら負荷を増加……と繰り返し成長することも可能です。
もうお分かりかもしれませんが、このように筋トレは「超効果的に身体能力を高める手段」になり得ます。
筋トレで身体能力は高まるのか?
先ほど『筋トレは「超効果的に身体能力を高める手段」になり得ます』とお伝えしましたが、果たして本当にそうなのでしょうか?
例えば (1) では、サッカーをしている若い男性らを対象に「サッカーだけをするグループ」と「サッカー + 筋トレをするグループ」に分け、身体能力がどのように変化するのかを調べています。
結果は以下の通りです。
サッカーのみ | サッカー + 筋トレ | |
ジャンプの高さ | + 1.94% | + 9.84% |
足の速さ (最高時速) | + 5.35% | + 11.86% |
これと同じような研究は他にも実施されており、若い男性だけでなく53〜69歳の女性でもジャンプ力がついた (2) 、ゴルフの飛距離が伸びた (3) など、性別・年齢・種目に関係なく、筋トレの良い影響が確認されています。
やはり、筋トレは「身体能力を高める最高の手段」と言っても過言ではないでしょう。
これらを踏まえたうえで、冒頭の質問「スポーツの競技力を向上させるために筋トレは必要ですか?」に戻りますが、その返答は、
「多少時間はかかりますが、ほぼ間違いなく筋トレでスポーツの競技力は向上します。どんな種目かによっても変わってはくるのですが、大抵の場合、スポーツの競技力を向上させたいのであれば、筋トレをやるに越したことはありません」
に落ち着きそうです。
最後に
今回は「【トレーニング】スポーツ競技力向上のために筋トレを行う必要はあるのか?」というタイトルで記事を書いてきましたがいかがだったでしょうか?
次回作もご期待ください。
参考文献
(1) Effects of a back squat training program on leg power, jump, and sprint performances in junior soccer players
(2) Resistance training in older women: effect on vertical jump and functional performance
(3) Effect of an 8-week combined weights and plyometrics training program on golf drive performance