札幌市中央区東本願寺前駅にある、初心者向けスポーツジム フィットメソッドです。
今回は「トレーニングと柔軟性 筋トレで身体が硬くなるって本当?」というタイトルで記事を書いていきます。
最初に結論からお伝えしますが、筋トレで身体が硬くなることはまずないかと思われます。
厳密に言うと「適切なトレーニングで柔軟性が低下することはまずないだろう」という印象です。
※ 柔軟性は「動的柔軟性」と「静的柔軟性」の2つに分類することができるのですが、今回の記事では後者 (一般的に知られている身体の柔らかさ・関節可動域) に焦点を当てています。
身体が硬いデメリットについて
本題に入る前に、身体が硬いデメリットについて触れていきますが、柔軟性の低さは、基本的にあまり良いものとされていません。
「ほら、身体が硬いからスポーツでよく怪我をするんだよ」とか「身体が硬いと転倒した時大きな怪我に繋がるよ」とか、おそらくこのようなセリフを皆様も一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
柔軟性の低さと怪我の関係性についてはいくつか研究が行われており、一致した見解は得られていないものの、例えば足関節の背屈制限と傷害発生率の間には、有意な相関が確認されていたりします (1) 。
具体的には「足首が硬いと、平均的な硬さの方に比べて特に捻挫の危険性が高くなる。その発生率は約5倍に迫る勢いだ」的な感じです。
個人的には、怪我のしやすさは柔軟性の低さのみで決まるものではなく、必ずしも「身体が硬い = 怪我をしやすい」みたいな構図は成り立たず、筋力であったり、冒頭で記載した動的柔軟性など、複数・様々な要因が絡み合って決定されるものだと考えています。
しかし一方で、上に挙げたような報告は他にもいくつかありますし、スポーツの現場で働くコーチ達からは「身体が硬い方は、平均的な硬さの方に比べて怪我をしやすい気がする」という声を聞くのも事実です。
とすると、もちろん断言はできませんが、怪我の観点から見るのであれば「身体が硬い方は、平均的な硬さまで柔らかくしておいた方が良い。特別身体が硬くない方は、硬くならないようにしておいた方が良い」と言えるかもしれません。
筋トレで身体が硬くなるって本当?
先ほど『怪我の観点から見るのであれば「身体が硬い方は、平均的な硬さまで柔らかくしておいた方が良い。特別身体が硬くない方は、硬くならないようにしておいた方が良い」と言えるかもしれません』とお伝えしました。
では一体何をすれば良いのかというと、柔軟性の向上効果が確認されている、ストレッチの実施が一般的に推奨されています。
ストレッチの実施によって「身体が硬い方 → 平均的な硬さまで柔らかくする」「特別身体が硬くない方 → 硬くならないようにする」という流れです。
しかし一方で、筋トレに関しては否定的な意見を聞くことも珍しくありません。
「筋トレをすると身体が硬くなってしまう」という意見ですが、これは本当なのでしょうか?
(2) では、トレーニング習慣のない学生36名を対象に、筋トレとストレッチが、柔軟性にどのような影響を及ぼすのかを調べています。
被験者を、筋トレグループとストレッチグループに分け、身体の硬さがどう変化するのかを調査したわけです。
ちなみに、詳しいプログラム内容は参考文献先をご覧いただきたいのですが、筋トレグループはバーベルを担いだスクワットなど、ストレッチグループは太ももの裏を伸ばす前屈など、ごく基本と思われるエクササイズに取り組んでいます。
結果、どちらのグループも特に股関節周辺の柔軟性が向上しましたが、グループ間で有意差は確認されませんでした。
つまり「筋トレもストレッチも、どちらも同等に身体が柔らかくなった」ということです。
また、これ以外にも、筋トレが柔軟性にどのような影響を及ぼすのかを調べた研究は行われているのですが、ここでも同様の結果が得られています (3) 。
そのため「筋トレをすると身体が硬くなってしまう」という意見には、個人的に同意できません。
経験論も含まれますが、これまでの科学的知見を元にすると、柔軟性を向上させるに必要な条件は「筋肉をはじめとした身体組織を十分に伸ばすこと」です。
筋肉をはじめとした身体組織を十分に伸ばせているのであれば、その時にかかる負荷の大小は、柔軟性の向上程度にほぼ関係ありません。
言い換えると、筋肉をはじめとした身体組織を十分に伸ばさないと、身体はどんどん硬くなっていきます。
もし仮に筋トレをしたことで身体が硬くなってしまったのであれば、それは「筋トレ」それ自体が原因ではありません。
例えば「狭い可動域でしか筋トレをしていなかった」のように、筋肉をはじめとした身体組織を十分に伸ばさなかったことが、身体が硬くなってしまった原因です。
最後に
今回は「トレーニングと柔軟性 筋トレで身体が硬くなるって本当?」というタイトルで記事を書いてきましたがいかがだったでしょうか?
繰り返しになりますが、適切な (可動域を広く取った) トレーニングで柔軟性が低下することはまずないかと思われます。
ぜひ安心して筋トレに取り組んでいただければ幸いです。
次回作もご期待ください。
参考文献
(1) Effects of ankle dorsiflexion range and pre-exercise calf muscle stretching on injury risk in Army recruits
(2) Resistance training vs. static stretching: effects on flexibility and strength
(3) The effects of strength training, cardiovascular training and their combination on flexibility of inactive older adults.