札幌市中央区東本願寺前駅にある、初心者向けスポーツジム フィットメソッドです。
トレーニングに、どのようなエクササイズを取り入れるかは個人の自由ですが、ボディメイク (筋肉量増加) を目的とした筋トレの初心者に対しては「とりあえず “BIG3” を行うべき。サイドレイズやアームカールは一切不要です」といった主張を目にするときがあります。
※ BIG3:スクワット・ベンチプレス・デッドリフトの3種目
個人的な印象ですが、このような意見はよく「X (旧Twitter) 」で散見され、肯定派・否定派がチラホラいるようです。
今回は「初心者は “BIG3” を行うべき? サイドレイズやアームカールは不要?」というタイトルで記事を書いていきます。
結論 〜 当ジムの見解 〜
はじめに結論からお伝えすると「部分的には賛成」ですが「部分的には反対」です。
厳密には「 “BIG3” のような多関節種目 (コンパウンドエクササイズ) を中心に取り組むことを優先した方が良い。サイドレイズやアームカールのような単関節種目 (アイソレーションエクササイズ) は状況に応じて補助的に取り入れるくらいが丁度良い」が、当ジムの見解になっています。
大まかな流れとしては、
①:まずはスクワットやベンチプレスなど、2つ以上の関節を動かすエクササイズ (多関節種目) や、高重量を扱えるエクササイズ (ルーマニアンデッドリフトなど) に取り組む。
②:それらのフォームを徹底的に習得し、使用重量をどんどん増やしていく。
③:このとき、サイドレイズやアームカールなど、1つの関節しか動かさないエクササイズ (単関節種目) や、低重量しか扱えないエクササイズに関しては「取り入れてはダメ!」というわけでは全くないが、しかし優先順位は低い。
④:① の使用重量が増えると、筋肉量が全体的に (全身) 満遍なく増加する。
⑤:① をキープしつつ、頃合いを見て ③ も取り入れる。
こんな感じでしょうか。
なぜこのような見解になったのか、その理由を解説していきます。
多関節種目を中心に取り組む ⇨ 単関節種目は状況に応じて補助的に取り入れる
基本的に、多関節種目は2つ以上の関節を動かすエクササイズであるため網羅的に、単関節種目は1つの関節しか動かさないエクササイズであるため局所的に筋肉を発達させることができると考えられています。
下の表のようなイメージです。
肥大率 | 多関節 | 単関節 |
筋肉 A | + 10% | ー |
筋肉 B | + 10% | + 30% |
筋肉 C | + 10% | ー |
筋肉 D | + 10% | ー |
そのため、特に鍛えたい部位がある場合は、多関節種目ではなく単関節種目をメニューに組み込むことがオススメされたりします。
しかし、多関節種目と単関節種目についての報告を眺めてみると、案外そうとも言えません。
例えば (1) では、ラットプルダウンを行うグループと、アームカールを行うグループを作り、週2回の頻度で10週間のトレーニングを実施し、上腕二頭筋がどのように変化するのかを調べています。
ラットプルダウンは肩関節と肘関節2つ以上の関節を動かす多関節種目に、アームカールは肘関節1つの関節しか動かさない単関節種目に該当するため、上腕二頭筋を鍛える効果は、ラットプルダウンよりもアームカールの方が優れていると考察できます。
では、結果はどうだったのかというと、ラットプルダウンは6.1%の増加、アームカールは5.8%の増加、両グループに有意差はなく、どちらも同等の肥大が確認されました。
これと似たような研究は他にもいくつか実施されており (2) 、どうもそれらをみる限り「多関節種目よりも単関節種目の方が、特定の部位をより発達させることができる」とは必ずしもならないみたいです。
つまり「多関節種目は単関節種目と同等の肥大効果を持ちながら、かつ他の部位にも刺激を与えることができる可能性がある」このようになります。
ということを踏まえると「 “BIG3” のような多関節種目を優先するべきか? それとも、サイドレイズやアームカールのような単関節種目を優先するべきか?」では、一種目で様々な筋肉を (ある程度均等に) 発達させることができる = トレーニング効率が高いという点から、おそらく前者の方が望ましいはずです。
こういった理由から「多関節種目を中心に取り組む ⇨ 単関節種目は状況に応じて補助的に取り入れる」の流れが良いのではないかと思います。
先ほど「多関節種目は単関節種目と同等の肥大効果を持ちながら、かつ他の部位にも刺激を与えることができる可能性がある = トレーニング効率が高い」との理由から「多関節種目を中心に取り組む ⇨ 単関節種目は状況に応じて補助的に取り入れるの流れが良いのでは?」とお伝えしました。
しかし一方で「いや、特に全身を鍛えたいっていう気持ちはなくて、自分が好む特定の部位のみを発達させられればそれでOK」という方もいらっしゃることでしょう。
ただ、パーソナルトレーナーとしての立場から、お節介にも助言をさせていただくのであれば、それは一考の余地があるかもしれません。
「特定の部位のみを発達させる」ことは、当然「特定の部位を発達させない」ことに繋がるため、筋肉 (筋力) のバランスが崩れ、痛みや違和感など不調をきたす恐れが考えられるからです。
例えば「肩」は、トレーニングに起因する傷害がよく発生する箇所として知られていますが、その原因の1つに筋肉の不均衡、つまり「筋力のアンバランス」が挙げられています (3) 。
「多関節種目では傷害が起こらず、単関節種目では傷害が起きる」なんてことはあり得ませんが、少なくとも「自分が好む特定の部位のみを発達させられればそれでOK」というスタンスは、あまり好ましいものではないでしょう。
「じゃあ、これまで通り多関節種目に取り組まなかったとしても、単関節種目をその分多く取り入れて全身を満遍なく鍛えれば良いんじゃない?」とお考えになる方もいらっしゃるかもしれませんが、それはそれで種目数が増えすぎる = トレーニングの所要時間が長くなりすぎますし、それなら「多関節種目を中心に取り組めば良いのでは?」で終わる話ですので、やはり単関節種目のみをその分多く取り入れるのは、正直なところ腑に落ちません。
やはり「多関節種目を中心に取り組む ⇨ 単関節種目は状況に応じて補助的に取り入れる」の流れが良い気がします。
最後に
今回は「初心者は “BIG3” を行うべき? サイドレイズやアームカールは不要?」というタイトルで記事を書いてきましたがいかがだったでしょうか?
ここ数年、おそらくSNSの影響かと思いますが、かっこいい肩周りを作るためサイドレイズに、太い腕周りを作るためアームカールに励む筋トレの初心者 (だと思われる) が多くなった印象を受けます。
もちろん、それ自体はとても素晴らしいことですし、非常に喜ばしいことでもあるのですが、一方でそれらをメニューのメインにしている方も見られます。
冒頭で触れた通り「多関節種目だけに取り組め!単関節種目を取り入れてはダメ!」というわけでは全くありませんが、トレーニング効率や不調をきたす恐れを考慮すると「多関節種目を中心に取り組む ⇨ 単関節種目は状況に応じて補助的に取り入れる」を基本・原則に置かれることをオススメします。
次回作もご期待ください。
参考文献
(1) Single vs. Multi-Joint Resistance Exercises: Effects on Muscle Strength and Hypertrophy
(2) Hip thrust and back squat training elicit similar gluteus muscle hypertrophy and transfer similarly to the deadlift
(3) Shoulder injuries attributed to resistance training: a brief review
<札幌市近郊> でスポーツジムをお探しの初心者の方は、ぜひ当ジムをご利用ください。