札幌市中央区東本願寺前駅にある、初心者向けスポーツジム フィットメソッドです。
安全かつ効果的なトレーニングを行うためには、各エクササイズにおける「適切なフォーム」を習得する必要があります。
もちろん絶対とは言いませんが、レッグプレスなどのマシントレーニングや、レッグエクステンションなどの単関節エクササイズ (1つの関節しか動かさないエクササイズ) では、フォームの習得はさほど難しくなく、わずか数分で完璧に覚えられるものもありますが、スクワットをはじめとしたフリーウエイト & 多関節エクササイズ (2つ以上の関節を動かすエクササイズ) だと、フォームの習得までに、数週間以上の期間を要することも珍しくありません。
特にスクワットでは「腰の過剰な丸まりや反り」の修正に苦戦される方が多い印象を受けており、おそらく皆様もご経験があるのではないでしょうか?
しかし、腰の過剰な丸まりや反りは、案外簡単な方法で修正できるかもしれません。
今回は「スクワットではどこに目線を向ける? どこを見る? フォームへの影響について」というタイトルで記事を書いていきます。
目線の向きがスクワットのフォームに及ぼす影響について
The effect of the direction of gaze on the kinematics of the squat exercise
研究内容をザックリ書き出します。
少なくとも1年以上に渡って、トレーニングの経験がある男性を対象に、以下3つの条件下でスクワットを実施した。
① 正面の壁と床の境目を見下ろす
② 正面の壁にある鏡に映った自分自身の目を見つめる
③ 正面の壁と天井の境目を見上げる
各条件下における首や体幹・股関節・膝関節等の屈曲角度を測定した。
※ 首と体幹に関しては、数値が大きいほど屈曲角度が強く、股関節と膝関節に関しては、数値が小さいほど屈曲角度が強い。
下目線 | 正面 | 上目線 | |
首 ( °) | 97 | 75 | 66 |
体幹 ( °) | 217 | 213 | 212 |
股関節 ( °) | 77 | 84 | 86 |
膝関節 ( °) | 11 | 12 | 12 |
首の屈曲角度は「下目線」で最も大きくなった。
体幹と股関節の屈曲角度は「下目線」で増加する傾向が見られた。
膝関節の屈曲角度は条件下で変わらなかった。
この研究では、目線の向き (どこを見るか) が、スクワットのフォームにどのような影響を及ぼすのかについてを調べています。
まず首の屈曲角度ですが、これについてはそのまま「下を向いたら首が前に倒れて、上を向いたら首が後ろに上がった」というだけで、特筆すべき点は特にありません。
注目したいのは体幹と股関節の屈曲角度で、下目線で最も大きく、または増加する傾向が確認されました。
この状況を端的にわかりやすく文字にすると「下目線では腰が丸まりやすく、上目線では腰が反りやすくなった」と言い換えることが可能です。
これは俗に「運動連鎖」と呼ばれており「どこかとある関節を動かすと、それに続いて隣接する関節にも運動が起こる」というもので、目線の向きを変える (首を動かす) ⇨ 体幹が動く ⇨ 股関節も動く、という流れが生じたのではないかと思われます。
個人的な感想
冒頭で少し触れた通り、スクワットにおける腰の過剰な丸まりや反りは、腰部に負担をかけ傷害の発生リスクを高めるとの理由から、基本的には「不適切なフォーム」と認知されています。
なぜスクワットで腰が丸まるのか? 反るのか? については、考えられる原因が幾つも存在するため、何とも言えないところではありますが、目線の向きがフォームに影響を及ぼす可能性が示唆されたことは事実ですので、
・腰が丸まりやすい ⇨ 上目線
・腰が反りやすい ⇨ 下目線
を、試してみるのも良いかもしれません。
が、注意していただきたい点が2つありますので、それをお伝えします。
1点目、先ほど紹介した研究で扱われた重量は「25%1RM」となっており、これはウォームアップで使用されるかどうかレベルの「相当軽い負荷」に該当し、一般的な (追い込む系の) トレーニングにも、このデータが当てはまるとは限りません。
重たい重量を担ぐことによって、ここでは調べられていない肩関節や手関節の屈曲角度が変化し、場合によっては真逆の数値が得られる可能性も考えられます。
2点目、ここまで記載してきた内容は「目線の向き」と「首や体幹・股関節・膝関節等の屈曲角度」の関係に過ぎず「やりやすさ」とか「バランスの取りやすさ」とは無関係です。
「腰が丸まりやすい、だから上目線」「腰が反りやすい、だから下目線」を取り入れることで、局所的にフォームが改善されたとしても、今度は「バーベルが骨に当たって痛い」とか「グラつく感じがする」とか、別の問題が生じるかもしれません。
確かにスクワットにおいて、腰の過剰な丸まりや反りは、フォームを構成する要素の中でも特別重要視されている印象を受けるのですが、だからと言って「それ以外はどうでも良い」というわけでは全くありませんので、もし目線の向きを変える際は、それら全体を考慮したうえで、最終的にどうするかを判断されるのが望ましいかと思われます。
最後に
今回は「スクワットではどこに目線を向ける? どこを見る? フォームへの影響について」というタイトルで記事を書いてきましたがいかがだったでしょうか?
次回作もご期待ください。