札幌市中央区東本願寺前駅にある、初心者向けスポーツジム フィットメソッドです。
トレーニングのやり方は千差万別、人それぞれで違うわけですが「筋トレでは、筋肉から負荷を抜かない (抜けない) ようにした方が良い」と言われることがあります。
アームカールを例に出すと「イラスト左のやり方では、腕を真上 & 真下に動かした時、筋肉から負荷が逃げてしまうので良くない。一方、イラスト右のやり方だと、腕を真上 & 真下まで動かさないことで、筋肉から負荷を逃がさないようにできるので良い」こんな感じです。
今回は「筋トレでは筋肉から負荷を抜かないようにした方が良いって本当?」というタイトルで記事を書いていきます。
「筋トレでは筋肉から負荷を抜かないようにした方が良い」と言われている理由
まず、なぜこのように言われているのかというと「トレーニングの効果が落ちる」と考えられているためです。
「筋肉から負荷が抜ける」という状況は「筋肉が力を発揮せずに休んでいる」と言い換えることができます。
「筋力や筋肉量を増加させたいのであれば、当然筋肉に負荷をかける必要があり、数秒とは言えど休みを挟めば、刺激がその分小さくなってしまい、トレーニングの効果に悪影響が出てしまう」という主張です。
確かに、そんな気もしないではないですが、個人的にそうは思いません。
理由を説明していきます。
レップ間休憩が筋肉量や筋力に及ぼす影響
Effect of Inter-Repetition Rest Vs. Traditional Resistance Training on The Upper Body Strength Rate of Force Development and Triceps Brachii Muscle Architecture
研究内容を簡潔に書き出します。
トレーニング経験のある被験者を対象に、彼らを「レップ間に休憩を取らない (通常のトレーニング) グループ」と「レップ間に休憩を取るグループ」の2つに分け、ベンチプレスを週2回の頻度で、計7週間に渡り実施した。
通常のトレーニンググループは、85%1RMで6レップを4セット・セット間休憩は3分、レップ間に休憩を取るグループは、同じく85%1RMで6レップを4セット・レップ間に20秒のインターバル、セット間休憩は3分で行った。
トレーニング前後で、ベンチプレスの1RM、および上腕三頭筋の厚みがどのように変化するのかを調べた。
通常グループ | レップ間グループ | |
ベンチプレス1RM | + 13.5% | + 21.5% |
上腕三頭筋厚 | + 8% | + 6.3% |
ベンチプレスの1RMは、両グループで増加したが、その増加率は、通常グループよりもレップ間グループの方で大きかった。
上腕三頭筋の厚みは、両グループで同等に増加した。
※ 他に、Rate of Force Development や Isometric Peak Force なども測定しているのですが、ここでは省略して話を進めていきます。
一般的なトレーニングでは、レップ間 (1回1回の合間) に休憩を取ることはあまりないかと思いますが (呼吸を整えるくらいでしょうか) 、この研究では20秒のインターバルを用意し、どのような影響が及ぶのかを調べています。
1回やったら小休憩 (20秒) ⇨ 1回やったら小休憩 (20秒) ⇨ という流れです。
結果、筋力 (ベンチプレスの1RM = 最大挙上重量) も筋肉量 (上腕三頭筋の厚み) も、両グループで増加が確認されましたが、ベンチプレスの最大挙上重量に関しては、通常グループよりもレップ間グループの方で大きくなりました。
こうなった理由はいくつか考えられますが、その中でも最も大きな要因としては「疲労の回復による強度の変化」が挙げられるでしょう。
通常グループは、レップ間に休憩を取らないため、疲労は一切回復することなく、右肩上がりに上昇していきます。
一方、レップ間グループは、20秒のインターバルを挟むため、完全とはいかないでしょうが、それでも相応に疲労を回復させることが可能です。
疲労度合いを数値化すると、あくまでもイメージですが、こんな感じになるかと思います。
通常グループ | レップ間グループ | |
1レップ目 | 10 | 10 |
2レップ目 | 20 | 15 |
3レップ目 | 30 | 20 |
4レップ目 | 40 | 25 |
5レップ目 | 50 | 30 |
6レップ目 | 60 | 35 |
実際、筋力や筋肉量以外に「主観的運動強度」と呼ばれる、その運動のキツさを10段階で表した指標も調べられているのですが、通常グループは8.1、レップ間グループは7.1と、やはり、通常グループよりもレップ間グループの方で低かったとのことです。
疲労を回復させることができれば、次のレップ、またその次のレップでも、最大限 (に近い) 大きな力を発揮することに繋がり、それが強度を高め、そうやって筋力の増加を促進したのでしょう。
冒頭で触れた本題に戻りますが「筋トレでは筋肉から負荷を抜かないようにした方が良い」と言われている理由は「休みを挟むことによる筋肉への刺激の減少」でした。
しかし、おそらく事実は逆で「同じレップ数を反復する」という前提はありますが、むしろ休みを挟むことによって、筋肉への刺激は増大する可能性が示唆されています。
そのため、この主張に対しては、どうもいささかの疑問を覚えます。
最後に
今回は「筋トレでは筋肉から負荷を抜かないようにした方が良いって本当?」というタイトルで記事を書いてきましたがいかがだったでしょうか?
このような理由から、個人的な意見ではありますが「筋トレで筋肉から負荷が抜ける瞬間があったとしても全く問題ない」と考えています。
むしろ状況によっては、そうした方が望ましいでしょう。
それよりも、もちろん怪我をしない範囲で、目一杯大きな可動域でのトレーニングを行う方が、全然重要なはずです。
次回作もご期待ください。