札幌市中央区東本願寺前駅にある、初心者向けスポーツジム フィットメソッドです。
ふくらはぎを鍛える代表的な種目に「カーフレイズ」と呼ばれるものがあります。
俗に言う「爪先立ち」のことで、写真左の立位はスタンディングカーフレイズ、写真右の座位はシーテッドカーフレイズです。
どちらのカーフレイズもふくらはぎに刺激が入るのですが、その効果は異なり、スタンディングは腓腹筋 (ひふくきん) を、シーテッドはヒラメ筋をメインで鍛えることができるとされています。
しかし、それは本当なのでしょうか?
今回は「スタンディング vs. シーテッドカーフレイズ ふくらはぎに効果的なのはどっち?」というタイトルで記事を書いていきます。
腓腹筋とヒラメ筋
まず、ふくらはぎにある筋肉、腓腹筋とヒラメ筋を確認していきましょう。
腓腹筋 (写真左) は、太ももの骨から始まり踵で終わり、膝関節と足関節、2つの関節を跨ぐように付着しているため、多関節筋と呼ばれます。
一方、ヒラメ筋 (写真右) は、すねの骨から始まり踵で終わり、足関節しか関節を跨がないため、単関節筋と呼ばれます。
どちらの筋肉も足関節を跨いでいるため、足首の底屈 (爪先立ちのように足首を伸ばす) 作用を有しており、腓腹筋に関しては、膝関節を屈曲させる (膝を曲げる) 働きもあります。
スタンディング vs. シーテッドカーフレイズ
腓腹筋とヒラメ筋の確認ができたところで本題に入っていきますが、冒頭で触れた通り、カーフレイズにおいて「スタンディングは腓腹筋を、シーテッドはヒラメ筋をメインで鍛えることができる」と言われています。
その理由は以下の通りです。
スタンディングは、膝関節を伸ばした状態で足関節を底屈させるため、腓腹筋は伸ばされた所から縮むことになるが、シーテッドは、膝関節を曲げた状態で足関節を底屈させるため、腓腹筋はゆるんだ所から縮むことになる。
腓腹筋の使われ方は、スタンディングで「ビキビキっと伸ばされてギュッと縮む」シーテッドで「ユルユルと伸ばされずにギュッと縮む」みたいなイメージ。
筋トレは「伸ばした筋肉を縮める」が基本だから、腓腹筋の貢献度は、スタンディングで大きくなるのに対し、シーテッドで小さくなるはず。
結果、スタンディングでの貢献度は腓腹筋>ヒラメ筋、シーテッドでの貢献度は腓腹筋<ヒラメ筋。
結論
・スタンディング:腓腹筋は鍛えられるけど、ヒラメ筋はあまり鍛えられない
・シーテッド:腓腹筋はあまり鍛えられないけど、ヒラメ筋は鍛えられる
実際、私自身もこのように考えていたのですが、どうも一部そうではないとの報告が去年なされました。
(1) では、トレーニング未経験者を対象に、12週間に渡って、片脚をスタンディング、もう片脚をシーテッドで追い込んでもらい、腓腹筋とヒラメ筋の筋肉量が、どれくらい増加するのかを調べています。
結果は以下の通りです。
スタンディング | シーテッド | |
腓腹筋外側 | 12.4% | 1.7% |
腓腹筋内側 | 9.2% | 0.6% |
ヒラメ筋 | 2.1% | 2.9% |
・腓腹筋:スタンディングで筋肉量が有意に増加。シーテッドでは顕著な変化なし。
・ヒラメ筋:スタンディングとシーテッドで筋肉量が有意に増加。2つの条件間で有意差なし。
・スタンディング:腓腹筋もヒラメ筋も筋肉量が有意に増加。腓腹筋の方がより増加。
・シーテッド:腓腹筋では顕著な変化なし。ヒラメ筋は筋肉量が有意に増加。
では、ここから詳しく解説をしていきます。
まず、腓腹筋に関しては「スタンディングで筋肉量が有意に増加。シーテッドでは顕著な変化なし」となっていますので、これまで言われていた通りと捉えることができそうです。
また、スタンディング「腓腹筋もヒラメ筋も筋肉量が有意に増加。腓腹筋の方がより増加」シーテッド「腓腹筋では顕著な変化なし。ヒラメ筋は筋肉量が有意に増加」となっていますので、この2つに関しても、これまで言われていた通りと捉えられるかと思います。
気になる点は、ヒラメ筋の「スタンディングとシーテッドで筋肉量が有意に増加。2つの条件間で有意差なし」でしょうか。
先述した通り、ヒラメ筋は「スタンディングであまり鍛えられない、シーテッドで鍛えられる」と言われていましたので、筋肉量は、「スタンディングよりもシーテッドの方が有意に増加」との予想を立てていました。
実際、たくましいふくらはぎを作るために、スタンディングとシーテッドの両方を、メニューに取り入れているというトレーニーを何人も知っています。
しかし、結果はそうではなかったようです。
スタンディングでは「腓腹筋の貢献度が大きくなる”ため”、ヒラメ筋はあまり鍛えられない」シーテッドでは「腓腹筋の貢献度が小さくなる”ため”、ヒラメ筋は鍛えられる」この ”ため” の部分で間違った推測が起きたのでしょう。
「ある一方の貢献度の大小で、もう一方の貢献度が決まる」と勝手ながらに思っていたのかもしれません。
確かによく考えてみると納得で、ヒラメ筋は、足関節しか関節を跨がない単関節筋ですので、スタンディングにしろシーテッドにしろ「同等に伸ばされて同等に縮む」=「筋肉量は同等に増加する」ことになるはずですから。
最後に
今回は「スタンディング vs. シーテッドカーフレイズ ふくらはぎに効果的なのはどっち?」というタイトルで記事を書いてきましたがいかがだったでしょうか?
この研究だけではまだ断言できませんが、もしふくらはぎを鍛えるために、スタンディングとシーテッドの両方をメニューに取り入れているのであれば、一度考え直しても良いかもしれません。
あくまでも個人的な意見ですが、スタンディングを取り入れれば、シーテッドを取り入れる必要はあまりないようにも感じます。
次回作もご期待ください
参考文献
(1) Triceps surae muscle hypertrophy is greater after standing versus seated calf-raise training