札幌市中央区東本願寺前駅にある、初心者向けスポーツジム フィットメソッドです。
トレーニングのメニューは、一度に全身を鍛える「全身法」と、特定の部位のみを鍛える「分割法」に分けることができます。
おそらく、初心者は全身法、上級者は分割法、みたいなイメージがついているのではないか思うのですが、トレーニングの効果はどちらが大きいのでしょうか?
今回は「【筋トレ】全身法 vs. 分割法 トレーニングで効果的なのはどっち?」というタイトルで記事を書いていきます。
結論
最初に結論からお伝えしますが、その人の状況によって変わるため、トレーニングの効果は「全身法の方が大きい!」「分割法の方が大きい!」と、一概に言うことはできません。
ただ、トレーニングのメニューを作成するにあたって「全身法と分割法、どちらの方が良いですかね?」とのご質問を受けたときは、全身法、または全身法に近い分割法を、基本的にはオススメしています。
全身法 vs. 分割法
まず「全身法と分割法、トレーニングの効果が大きいのはどちらか?」的な議論は、ずっと前からトレーナー達の間で度々なされてきました。
トレーニングのメニューによって、得られる効果には違いが出ますので、人気のあるテーマの1つになるのは、当然と言えば当然でしょう。
昔は雑誌から、今はインターネットから、トレーニングに関する情報を手軽に入手できるわけですが、初心者には全身法を、上級者には分割法を推奨している媒体が多く見られ「まずは全身法からスタートし、慣れてきたら分割法に切り替える」という流れが、ある程度確立されている印象です。
実際、私もトレーニングを始めたばかりの頃は、先輩トレーニーから「とりあえずは全身法で鍛えていくのが良いよ。半年くらい経ったら、今日は脚の日・胸の日・背中の日・腕の日、のように、4 〜 5分割に挑戦してみよう」とアドバイスを受けた記憶もあります。
そんな中、2024年つい最近、全身法と分割法に関する、メタ分析が発表されました。
メタ分析とは、これまで実施された複数の研究を統合し、より高い見地から解析する統計手法のことです。
詳細を知りたい方は、上のリンクよりお進みいただきたいのですが、結果としては、
「1週間あたりのボリュームが同等であれば、全身法も分割法も、トレーニングの効果 (筋力向上・筋肥大) は同様である」
というものになりました。
一般的に「ボリューム」は、重量・回数・セット数、これら3つの積で表され、40kg・12回・5セット、このようなトレーニングに取り組んだ場合は、40 × 12 × 5 =「2400」⇦ これになります。
具体的な例を挙げると、
()内はボリューム | 全身法 | 分割法 |
DAY 1 分割法は脚の日 | スクワット (2,000) ベンチプレス (1,500) ラットプルダウン (1,200) 合計4,700 | スクワット (2,000) ランジ (2,000) レッグプレス (2,000) 合計6,000 |
DAY 2 分割法は胸の日 | ランジ (2,000) チェストプレス (1,500) シーテッドロウ (1,200) 合計4,700 | ベンチプレス (1,500) チェストプレス (1,500) ダンベルプレス (1,500) 合計4,500 |
DAY 3 分割法は背中の日 | レッグプレス (2,000) ダンベルプレス (1,500) ベントオーバーロウ (1,200) 合計4,700 | ラットプルダウン (1,200) シーテッドロウ (1,200) ベントオーバーロウ (1,200) 合計3,600 |
トータルボリューム | 14,100 | 14,100 |
上記の内容であれば、全身法と分割法、トレーニングの効果は同様になるということです。
ここまでの話を聞くと「全身法と分割法、どちらもトレーニングの効果は同じで差はないのか。じゃあ、好きな方を取り入れれば良いんだ」とお考えになる方もいらっしゃるかと思うのですが、ここで注意点と言いますか、気をつけなければいけないことが1つあります。
それは「全身法も分割法も、トレーニングの効果は同様である」という結果が得られた背景には「1週間あたりのボリュームが同等であれば」という条件があってのことだということです。
これ、超重要になります。
言い方を変えると「トレーニングの効果は、全身法や分割法などのやり方に依存しているのではなく、あくまでもボリュームに反応する」ということです。
そして、筋力向上・筋肥大に関しては「ボリュームが増えれば増えるほど効果的」である可能性が示唆されています (1) (2) 。
よって、冒頭で触れた「全身法と分割法、トレーニングの効果はどちらが大きいのでしょうか?」という問いに対して、本質的な意味でお答えするのであれば「全身法と分割法、ボリュームをより増やせる (稼げる) のはどちらか?」を考察する必要が出てきます。
では、全身法と分割法、どちらの方がボリュームを増やしやすいのかというと、これはその人の状況によって変わるため、一概には言えません。
例えば、週に1回の頻度で、60分のトレーニング時間を確保できる初心者の方がいたとすると、選択すべきは全身法一択でしょう。
どこまで分けるかによっても変わってはきますが、分割法を取り入れ、かなり細かく分割しようものなら「次、脚を鍛える日は1ヶ月半後だ」みたいなことになりかねません。
期間が空けば空くほど、フォームを忘れてしまうこともあるでしょうし、せっかくその日のトレーニングで、筋力向上・筋肥大が微小ながら起きたとしても、次回には完全に元に戻ってしまい、ボリュームを稼ぐことは難しくなるはずです。
また、週に3回の頻度で、45分のトレーニング時間を確保できる方がいたとして、でも各関節のアップを念入りにする場合、分割法を選択した方が良いかと思います。
全身法だと、股関節・膝関節・足関節・肩関節・肘関節・手関節………のアップに時間が取られてしまうため、多くのトレーニングをこなすことができません。
一方、分割すれば、脚の日 ⇨ 股関節・膝関節・足関節のアップ、胸の日 ⇨ 肩関節・肘関節・手関節のアップ、と時短になり、ボリュームを稼ぐことに繋がるでしょう。
このように、全身法と分割法、どちらの方がボリュームを増やしやすいのかは、その人の状況によって変わってくるわけです。
しかし、これまでに報告された科学的知見や、指導経験を元にすると、一部の上級者を除いた大半の方は、高い確率で全身法、または全身法に近い分割法 (細かく分けすぎない分割法) が、ボリュームを稼ぐうえで効率的な気がします。
最後に
今回は「【筋トレ】全身法 vs. 分割法 トレーニングで効果的なのはどっち?」というタイトルで記事を書いてきましたがいかがだったでしょうか?
繰り返しになりますが、全身法と分割法、どちらの方が良いのかは、皆様の状況によって変わるため、一度両方にチャレンジしてもらい、どれくらいボリュームを稼げるのかを調べてみるのも面白いかもしれません。
今日は長文でした。
次回作もご期待ください。
参考文献
(1) Single Versus Multiple Sets of Resistance Exercise: A Meta-Regression
(2) Single vs. multiple sets of resistance exercise for muscle hypertrophy: a meta-analysis