札幌市中央区東本願寺前駅にある、初心者向けスポーツジム フィットメソッドです。
YouTubeやSNSで、トレーニングの解説動画なんかを見ていると「スクワットで立ち上がる時は、お尻の筋肉をギュッと収縮させる意識をしましょう」や「ラットプルダウンでバーを引き下げる時は、背中の筋肉を絞り込むような意識で」のように、特定の筋肉を意識させるようなセリフを聞くことがあります。
私自身もお客様に指導をする際は、そのような声がけをする時もありますし、一定期間のトレーニング経験がある方は、誰かに言われたわけでもなく自発的に行っているかもしれません。
このように「トレーニング中に特定の筋肉を意識する」は、当たり前に良いこと・必要なことと認識されている印象を受けますが、果たして本当にそうなのでしょうか?
今回は「【筋トレ】トレーニング中に特定の筋肉を意識する必要はあるのか?」というタイトルで記事を書いていきます。
最初に結論からお伝えしますと、個人的な見解としては「トレーニング中に特定の筋肉を意識することで、得られるメリットはデメリットよりも多い印象があるため、基本的にはそうした方が良い。しかし、フォームに悪い影響が及ぶのであれば、それはもちろんしない方が良い」となっています。
意識の種類
本題に入る前に確認をしていきますが、一般的にトレーニング中の意識は「internal focus」と「external focus」に分類することができます。
internal focus は自分の身体、つまり「内的な部分」への意識のことで、冒頭で触れたように「お尻の筋肉をギュッと収縮させる」や「背中の筋肉を絞り込む」などが挙げられます。
一方、external focus は自分の身体の外、つまり「外的な部分」への意識のことで、例えば「バーベルをできるだけ素早く持ち上げるイメージで」や「ダンベルを上に放り投げるイメージで」などが挙げられます。
今回の記事は「特定の筋肉を」というワードがタイトルに入っている通り、internal focus に焦点を当てた、そして「安全かつ効率的に筋肉をつける」という点に焦点を当てた内容だと思っていただければ幸いです。
では、ここから本題に入ります。
トレーニング中に特定の筋肉を意識することで得られる効果
このトピックに関しては、いくつか研究が行われています。
例えば (1) では、トレーニング経験のある男性を対象にベンチプレスを実施し、最大挙上重量 (1RM) の20%・40%・50%・60%・80%の重さを使用した際「大胸筋を使う意識をするパターン」と「上腕三頭筋を使う意識をするパターン」では、筋肉の活動にどのような影響が及ぶのかが調べられました。
結果は以下の通りです。
大胸筋の活動 | 意識なし | 意識あり |
20%1RM | 21% | 28% |
40%1RM | 38% | 44% |
50%1RM | 52% | 57% |
60%1RM | 56% | 65% |
80%1RM | 81% | 80% |
上腕三頭筋の活動 | 意識なし | 意識あり |
20%1RM | 31% | 42% |
40%1RM | 47% | 53% |
50%1RM | 55% | 59% |
60%1RM | 60% | 64% |
80%1RM | 80% | 82% |
大胸筋を使う意識をするパターンも、上腕三頭筋を使う意識をするパターンも、意識なし (通常時) と比べて、20% 〜 60%1RMの範囲で、筋肉の活動が増加しているのが確認できます。
もっとも、80%1RMでは、どちらのパターンも有意な増加はみられませんでした。
この理由ですが、扱う重さが増えると余裕がなくなり、持ち上げることそれ自体に意識が向いてしまうためでしょう。
トレーニング中に特定の筋肉を意識することで (80%1RM未満で) 、対象の筋肉の活動が増加するのであれば、その部位により強い刺激が入っていると考察ができますので、筋肉をつけるという点に関しては、良い影響が及ぶような気がします。
必ずしもトレーニング中に特定の筋肉を意識する必要はない
先ほど「トレーニング中に特定の筋肉を意識することで 〜中略〜 筋肉をつけるという点に関しては、良い影響が及ぶような気がします」とお伝えしましたが、一方で、綺麗なフォームにも繋がりやすいという印象もあります。
例えばスクワットなんかで、お尻の筋肉を使う意識をしてもらうと「適度に上体が前傾し、過剰な膝の前方突出が抑えられる」みたいな感じです。
そのため、個人的な見解としては、特に鍛えたい部位に対して、(基本的には) トレーニング中に特定の筋肉を意識することは良いのでないかと考えています。
しかし、少数ではありますが、トレーニング中に特定の筋肉を意識すると (≒ 意識しすぎると) 、フォームが乱れてしまうこともある印象です。
例えばスクワットなんかで、お尻の筋肉を使う意識をさせると (≒ 意識をさせすぎると) 過剰に上体が前傾してしまい、腰が丸まりやすくなるとか。
トレーニングで結果を出すためには、皆様ご存知の通り「綺麗なフォーム」が必要不可欠です。
ということを踏まえると、必ずしもトレーニング中に特定の筋肉を意識する必要はないかと思われます。
冒頭で触れたように「トレーニング中に特定の筋肉を意識することで、得られるメリットはデメリットよりも多い印象があるため、基本的にはそうした方が良い。しかし、フォームに悪い影響が及ぶのであれば、それはもちろんしない方が良い」がやはり結論になりそうです。
最後に
今回は「【筋トレ】トレーニング中に特定の筋肉を意識する必要はあるのか?」というタイトルで記事を書いてきましたがいかがだったでしょうか?
external focus に焦点を当てた記事も、いずれ投稿していきたいと思います。
次回作もご期待ください。
参考文献
(1) Importance of mind-muscle connection during progressive resistance training