札幌市中央区東本願寺前駅にある、初心者向けスポーツジム フィットメソッドです。
今回は「オーバーリーチングとは? スクワットの挙上重量 = 筋力に及ぼす影響について」というタイトルで記事を書いていきます。
オーバーリーチングとは?
通常、トレーニングで身体能力の向上を図る際は、週2回で月曜日・木曜日とか、週3回で月曜日・水曜日・金曜日とか、間に休息期間を挟むのが一般的です。
が、あえて日ごと・週ごとのボリュームや強度を増加させ、1日に複数回のセッションや、5 〜 7日間に渡り連続してトレーニングを行い、つまり短期間に集中的な負荷を身体に加えることで、一時的な身体能力の低下を引き起こし、その後の回復期間によってより大きなパフォーマンスの向上を狙う方法は「オーバーリーチング (overreaching) 」と呼ばれています。
少年漫画や映画なんかで、正義の主人公が強大な悪の組織と戦うため、短いながらもとてつもなく過酷な修行に挑戦し、劇的なレベルアップを遂げて戻ってくる、みたいなシーンを目にしたことがあるかと思いますが、まさにあんな感じだと捉えていただければ問題ないでしょう。
しかしこのオーバーリーチング、本当に効果はあるのでしょうか?
※ オーバーリーチングは「機能的オーバーリーチング (Functional Overreaching) 」「非機能的オーバーリーチング (Non-Functional Overreaching) 」の2つに分類されたり、「オーバートレーニング (overtraining) 」と繋がっていたりするのですが、それは別の機会に詳しく紹介する予定です。
オーバーリーチングがスクワットの挙上重量に及ぼす影響について
Effects of a 5-Day Back Squat Overreaching Protocol on Strength Performance, Perceived Recovery and Wellness Responses: A Pilot Trial
この研究では、トレーニング経験のある男性8名にオーバーリーチングを実施し、スクワットの挙上重量がどのように変化するのかについてを調べています。
参加者たちの概要は以下の通りです。
年齢 | 24.6 歳 |
身長 | 175 ㎝ |
体重 | 83.6 ㎏ |
スクワットの挙上重量 | 158 ㎏ |
トレーニング歴 | 7 年 |
スクワットの挙上重量は体重の「1.9倍」となっており、一般レベルではかなりの力持ちに区別されるかと思います。
トレーニングは「ベース期」「オーバーリーチング期」「テーパリング期」の3フェーズから成り立ち、各プログラムの概要は以下の通りです。
・ベース期:すべての参加者が、同じ疲労状態でオーバーリーチング期を迎えるようにするための準備期間。週2回の頻度で2週間に渡り、スクワット・ルーマニアンデッドリフト・ベンチプレスなどを75%1RMで5 〜 8回・2セット実施。
・オーバーリーチング期:5日間連続でスクワットを行う期間。80%1RMで挙上速度が40%損失するまでか、適切なフォームを維持できなくなるまで反復をし、これを5セット・セット間休憩は5分で繰り返す。
・テーパリング期:5日間のオーバーリーチング期が完了後は2日間の完全休養を設け、回復を促進しながらも測定時のコンディショニングを調整する期間がこのテーパリング期。ベース期と同様に、週2回の頻度で2週間に渡り全身のトレーニングを実施するが、段階的に量を減らし体調を整える。
大まかな流れをイラストにすると、こんな感じになります。
結果 = スクワットの挙上重量は以下の通りです。
事前段階での測定 | 158.9 ± 30.1 ㎏ |
テーパリング期7日目の測定 | 166.6 ± 30.4 ㎏ |
テーパリング期14日目の測定 | 167.3 ± 31.0 ㎏ |
・7日目の測定では、事前測定よりも平均4.8% (7.7 ± 2.9 ㎏) 増加した。
・14日目の測定では、事前測定よりも平均5.2% (8.3 ± 5.3 ㎏) 増加した。
・7日目の測定と14日目の測定では、平均0.4% (0.6 ± 4.8 ㎏) 増加した。
・7日目の測定では、事前測定よりも全参加者でスクワットの挙上重量が増加した。
・14日目の測定では、6名で7日目の測定よりもスクワットの挙上重量が増加したが、2名は事前測定レベルに戻った。
※ オーバーリーチング期の5日間で完了したスクワットの総反復回数平均は170回 = 1セットあたり6.8回だった。
つまり、この研究結果からはオーバーリチーングの筋力に対する有効性が示され、そのピークが現れるタイミングには個人差が確認された、とまとめられます。
オーバーリーチングは、主にアスリートがより良い試合結果を残せるよう取り入れられる戦略として知られており、例えばダイエットやボディメイク・健康促進・姿勢改善などを目的にトレーニングを行われる一般の方に対して、こういった手法をオススメすることは基本的に一切ありません。
オーバーリーチングではかなりの疲労を伴いますし、そもそも連続してトレーニングの時間を確保することが物理的に困難である場合が多いためです。
しかし、平均トレーニング歴7年の方たちにおいて、約1ヶ月の期間でスクワットの挙上重量が8kg前後も増加したことを考えると、もしかしたら停滞期打破の手段にオーバーリーチングは使えるかもしれません。
もっとも、先ほど紹介した研究ではオーバーリーチングとして「5日間」「80%1RM」「5セット」テーパリングとして「全身のトレーニング」「週2回」「2週間」のプログラムを定めていますが、この内容が最良であるかは今のところ不明で、また個人差の存在も確認されているため、取り入れる際はこれらの変数を自分なりにアレンジし、複数のパターンを試してみるのが良いでしょう。
ただ、個人的な経験論からお伝えしますと、オーバーリーチングの期間に関しては長くても「1週間」に留めておいた方が良いように思います。
最後に
今回は「オーバーリーチングとは? スクワットの挙上重量 = 筋力に及ぼす影響について」というタイトルで記事を書いてきましたがいかがだったでしょうか?
次回作もご期待ください。
札幌市近郊にお住いの方は、
ぜひ フィットメソッド をご利用ください。